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正多角形の頂点と交わる放物線に関する定理

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正多角形の頂点と交わる放物線に関する定理

正多角形の頂点と交わる放物線?

twitter 上にて apu_yokai さんがつぶやかれておられました『 4つの数字の和が31になるように頂点を選ぶと同一の放物線上に乗るの図 』を拝見し、とても興味を覚えました。

「もしかして、放物線が複素平面上の単位円と $4$$z_1,~z_2,~z_3,~z_4$ で交わるとき、$z_1z_2z_3z_4=1$ になるとか?」

と一般化予想された方もおられることでしょう。これについては円周上の $3$ 点を通る放物線の式をつくったとき、もう $1$ 点がどう表されるのかを確かめたらよさそうです。早速調べてみますね。

単位円と4点で交わる放物線

複素平面と $x$-$y$ 座標平面の見通しをよくするため、次のように直交座標系で表してみました。

$$\begin{cases} z_1=\mathrm{Re}~z_1+\mathrm{Im}~z_1i=x_1+y_1i\\ z_2=\mathrm{Re}~z_2+\mathrm{Im}~z_2i=x_2+y_2i\\ z_3=\mathrm{Re}~z_3+\mathrm{Im}~z_3i=x_3+y_3i\\ z_4=\mathrm{Re}~z_4+\mathrm{Im}~z_4i=x_4+y_4i\\ \end{cases}$$

これらのうち $3$$(x_1,~y_1)$$(x_2,~y_2)$$(x_3,~y_3)$ を通るということは

$$y=\frac{(x-x_2)(x-x_3)}{(x_1-x_2)(x_1-x_3)}y_1+\frac{(x-x_3)(x-x_1)}{(x_2-x_3)(x_2-x_1)}y_2+\frac{(x-x_1)(x-x_2)}{(x_3-x_1)(x_2-x_2)}y_3$$

という関係が想定されます。係数を整理してみるとこれは $x$ の最高次数が $2$ ですから二次曲線、つまり $x$-$y$ 平面上に放物線をなしていることから題意を満たす式です。

これが単位円と交わっているわけですから、それらの交点はいずれも原点 $(0,0)$ からのユークリッド距離が $1$、よって交点の $x$ 座標は

$$x^2+\left(\frac{(x-x_2)(x-x_3)}{(x_1-x_2)(x_1-x_3)}y_1+\frac{(x-x_3)(x-x_1)}{(x_2-x_3)(x_2-x_1)}y_2+\frac{(x-x_1)(x-x_2)}{(x_3-x_1)(x_2-x_2)}y_3\right)^2=1^2$$

を満たす $x$ ということになります。これは $x$ の最高次数が $4$ なので四次方程式、であれば実数解は最大で $4$ つですから交点も最大で $4$ つ求まり、うち $3$ 点の $x$ 座標 $x_1,~x_2,~x_3$ は既に分かっていますので、それらを除外すれば残った $x$$x_4$ ということになるでしょう。

$$\frac{x^2+\left(\frac{(x-x_2)(x-x_3)}{(x_1-x_2)(x_1-x_3)}y_1+\frac{(x-x_3)(x-x_1)}{(x_2-x_3)(x_2-x_1)}y_2+\frac{(x-x_1)(x-x_2)}{(x_3-x_1)(x_2-x_2)}y_3\right)^2-1}{(x-x_1)(x-x_2)(x-x_3)}=0$$

少しタイヘンですが、この式をふんふんとゴリラ計算したところこんな感じになりました。

$$x=(x_4=)~x_1x_2x_3-y_2y_3x_1-y_3y_1x_2-y_1y_2x_3$$

あとはこの $x$ を最初の放物線の式に食べさせるだけです。ゴリラ再び🦍。

$$y=(y_4=)~y_1y_2y_3-x_2x_3y_1-x_3x_1y_2-x_1x_2y_3$$

おや、これって $z_1z_2z_3$ の複素共役をとったときの実部と虚部では? 試しに計算してみませう。

$$\begin{align} \overline{z_1z_2z_3}=&\overline{(x_1+y_1i)(x_2+y_2i)(x_3+y_3i)}\\[4pt] =&\overline{(x_1x_2x_3-y_2y_3x_1-y_3y_1x_2-y_1y_2x_3)+(x_2x_3y_1+x_1x_3y_2+x_1x_2y_3-y_1y_2y_3)i}\\[4pt] =&(x_1x_2x_3-y_2y_3x_1-y_3y_1x_2-y_1y_2x_3)+(y_1y_2y_3-x_2x_3y_1-x_3x_1y_2-x_1x_2y_3)i\\[4pt] =&x_4+y_4i\\[4pt] =&z_4 \end{align}$$

ビンゴですね! 完全に一致しています。

単位円上の複素数のお話ですから $|z_1z_2z_3|=1$ であることは自明ですので、以上により

$z_1z_2z_3z_4=z_1z_2z_3(\overline{z_1z_2z_3})=1$

が示されました。

まとめ





複素平面上の単位円と放物線の4交点定理 by みゆ@ますらば
複素平面上の単位円と放物線が
4つの交点 $z_1,~z_2,~z_3,~z_4$ で交わるとき、
$z_1z_2z_3z_4=1$ である。

単位円上でこれが言えるということは、円に内接する正多角形においては円周が頂点で等分されているわけですから $4$ 点目があるなら確実にどこかしらの頂点になるといえるでしょう(*´∀`*)

検証に協力くださったハーディ先生こと nayuta_ito さんと、アイデアのきっかけをくださった apu_yokai さんに感謝いたします。

投稿日:2021219

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投稿者

https://mathlog.info/articles/323         数学を愛する会 副会長 COO CTO       ガラパゴ数学 開拓者             猫舌・甘党・薄味派

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