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東大数学2013を簡単に解く

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{asn}[0]{\hspace{16pt}(\mathrm{as}\ n\to\infty)} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{beq}[0]{\begin{eqnarray*}} \newcommand{c}[2]{{}_{#1}\mathrm{C}_{#2}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{cb}[0]{\binom{2n}{n}} \newcommand{ds}[0]{\displaystyle} \newcommand{eeq}[0]{\end{eqnarray*}} \newcommand{G}[1]{\Gamma({#1})} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{hp}[0]{\frac{\pi}2} \newcommand{I}[0]{\mathrm{I}} \newcommand{l}[0]{\ell} \newcommand{limn}[0]{\lim_{n\to\infty}} \newcommand{limx}[0]{\lim_{x\to\infty}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{nck}[0]{\binom{n}{k}} \newcommand{p}[0]{\varphi} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{space}[0]{\hspace{12pt}} \newcommand{sumk}[1]{\sum_{k={#1}}^n} \newcommand{sumn}[1]{\sum_{n={#1}}^\infty} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{tc}[0]{\TextCenter} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

${}$

この記事では, 東大数学2013の第3問を簡単に解こうと思います. たぶん他のサイトでは見かけない解法だと思います.

問題は以下です. (表記を一部変えました.)



$\space$$A,B$の2人がいる. 表裏が等確率で出るコインが1枚あり, 最初は$A$が持っている. 次の操作を繰り返す.

$\space$$(ⅰ)$$A$がコインを持っている時に表が出れば, $A$$1$点を与え, コインは$A$がそのまま持つ. 裏が出れば, 両者に点を与えず, $A$はコインを$B$に渡す.

$\space$$(ⅱ)$$B$がコインを持っている場合も全く同様にする.

$\space$そして$A,B$のいずれかが$2$点獲得した時点でその者の勝利とし, 操作を終える. 例えば, 表/裏/表/表 と出た場合は$B$の勝利となる.

$\space$$(1)$2人合わせてちょうど$n$回投げたときに$A$の勝利となる確率$p_n$を求めよ.

$\space$$(2)$$\ds\sumn{1}p_n$を求めよ.

これの$(2)$のみを簡単に解きたいと思います.

ちなみに, $(1)$は ($n$の2次式 )$\cdot\dfrac{1}{2^n}$ みたいな形になるので, 地道にやるとかなり面倒な計算問題となっています.
${}$

(解答)

$(2)$の値は最終的に$A$が勝利する確率を表しています. これは収束するので$p$とおきます.

また補助的に, 以下の条件の場合に最終的に$A$(=先手)が勝利する確率も決めておきます.
${}$
・先手も後手も1点取れば勝利の場合: $q$
・先手は1点, 後手は2点取れば勝利の場合: $r$
・先手は2点, 後手は1点取れば勝利の場合: $s$

${}$

次にこれらの間に成り立つ関係を考えます.

まず$q$は, はじめに表が出れば終わりで, 初めに裏が出れば後手は全く同じ状況なので

$$ q=\frac12+\frac12(1-q)$$
が成り立ちます.($1-q$は後手が負ける確率です) これより$q=\dfrac23$が分かります.
${}$

今度は$r,s$についても同様にして,

$$\beq r&=&\frac12+\frac12(1-s)\\ s&=&\frac12q+\frac12(1-r) \eeq$$
となります. (コインを持っている人が変わると$r,s$も入れ替わることに注意します. ) これらを解いて$r=\dfrac79, s=\dfrac49$を得ます.
${}$

最後に$p$については,

$$ p=\frac12r+\frac12(1-p)$$
が成り立つので, $p=\dfrac{16}{27}$と求めることができました.
${}$

読んで下さった方, ありがとうございました.

${}$

${}$

投稿日:2021224

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投稿者

東大理数B3です

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