次のような定理を証明してみました.
$\theta$を,$2\pi$の無理数倍であるような角とする.
また,座標平面上の点$(1,0)$を$p_0$と名付ける.
$p_0$を,原点$O$を中心に角度$n\theta (n\in\mathbb{Z})$だけ回転させた点を$p_n$とする.このとき,集合
\begin{equation}
A = \{ ..., p_{-1}, p_0, p_1, p_2,... \}
\end{equation}
は単位円周上において稠密である.
言い換えれば,$A$の点を含まないような単位円周上の区間は存在しない.
今,円周上で距離$l$だけ離れた$A$の2点$p_n, p_{n+k} (n,k \in\mathbb{Z})$を考える.$p_{n+k}$は,$p_n$を原点中心に角度$k\theta$だけ回転させた点である.また,$p_{n+2k}$という点を考えると,これは$p_{n+k}$をさらに原点中心に$k\theta$だけ回転させた点である.従って,$p_{n+2k}$は$p_{n+k}$から$p_n$とは反対の方向に距離$l$だけ進んだ点である.$p_{n+3k}, p_{n+4k},...$についても同様である.
こうして,集合
\begin{equation}
B = \{ p_n, p_{n+k}, p_{n+2k}, ..., p_{n+mk} \}
\end{equation}
で,$B$の全ての隣り合う点の間隔が$l$以下となるものが取れる.$B$は$A$の部分集合だから,このとき単位円周上で$A$の点を含まない区間の長さは(もしそのような区間があればだが)常に$l$以下である.従って,このような$l$の下限が$0$,つまり$l$をいくらでも$0$に近く取ることができるのであれば,そのような区間は存在しないことが言えるのである.
仮に,上のような$l$が常にある正の定数$\epsilon$以上だとしよう.つまり,$A$の異なる2点を取ったとき,それらの円周上での距離が常に$\epsilon$以上であるとする(このような状況を,「$A$は離散集合である」と表現する).このとき正の偏角をもつ$A$の点の中で偏角最小なる点を$p_s$とする(これは離散性の仮定があるから存在するのである).然らば$p_0$と$p_s$の間の距離$l$が,$A$の異なる2点間の距離の最小値である.
よって$A$のとなりあう2点間の距離は全て$l$であり,$A$の点は円周上で等間隔に並ぶ.このとき明らかに$\theta$のある整数倍が$2\pi$の整数倍になっており,従って$\theta$は$2\pi$の有理数倍となり仮定に反する.よって$A$が離散集合であるという仮定が誤りであり,$A$の異なる2点間の距離の下限は$0$である.故に,単位円周上で$A$の点を含まないような区間は存在しない,すなわち$A$は単位円周上において稠密である.$\Box$