この記事ではフーリエ級数展開およびにフーリエ変換の周辺知識とその正当性を示していきます。
まずフーリエ級数展開とフーリエ変換とは以下の公式のことを言うのでした。
が成り立つ。この右辺のことを
ただし
および
とした。
なる関数
が成り立つ。この
初等的な知識(高校数学程度)でフーリエ級数展開やフーリエ変換を学ぼうとすると大体は次のような説明を見ることになると思います。
三角関数の直交性
に注意して周期
と確かに
となることがわかります。
この説明では三角関数と直交するある関数が存在して
という形で書けそうだということまではわかりますが、
に注意して周期
ただし
となることがわかります。
関数
によって定め、これについてフーリエ級数展開すると
となり、この
なので
ただし
と表せることがわかります。
この説明は直感的には納得はできそうですが
と勝手に内側の積分範囲を
以下ではこれらの操作の正当性について説明していきます。
閉区間
が成り立つ。
任意に
をそれぞれの区間
が成り立つように取る。
また
と評価できるので主張を得る。
が成り立つ(ただし各点収束)。なお
簡単のため
まずフーリエ級数の部分和
とおくと
と変形できる。
ここで
とおくと
と
以上より
に注意するとリーマン・ルベーグの補題から
を得る。
フーリエの収束定理ではフーリエ級数が各点収束することを保証していますが実用的には一様収束が保証された方が嬉しいのでこの節では一様収束の十分条件を与えたいと思います。具体的には区分的に滑らかであることに加えて
以下
について
が成り立つ。特に
のことをパーセバルの等式という。
指数関数の直交性
に注意すると
が成り立つのでこれを
また
いま導関数
を考えると
が成り立ち、また
つまり
いま相加平均相乗平均の不等式から
が成り立つことに注意すると
とフーリエ級数が絶対一様収束することがわかる(cf. ワイエルシュトラスのMテスト)。
さて今問題になっているのは
という操作の正当性なのでした。この操作は中の積分の
とりあえず一般の
が成り立つので上の操作が正当化でき
が成り立つことになります。
あとは適当な条件下で(優収束定理などから)
および
が正当化できるので
が成り立つ。といった具合でしょうか。
最後の最後で「いい感じの関数列を持ってくる」という曖昧な表現になってしまいましたが、実際問題一般の関数
関数
について
が成り立つ。
とおくとこれは周期
を考えることができ、このとき
と表せることから主張を得る。