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積分botを解けるだけ解く, その1

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この記事では, 積分botの積分を僕が証明できるだけ解き続けたいと思います. とはいえ, 全部厳密な証明をしているといつまでたっても終わらない気がするので, かなり略すところがあると思います. とりあえず, ある程度前のツイートから順番にいきたいと思います.

1個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361111343697453060 )

0πsinμ1xsinbxdx=21μπΓ(μ)sinπb2Γ(1+μb2)Γ(1+μ+b2)

これはベータ関数のもう一つの形というやつですね. さっそく証明を書いていきます.

積分路1 積分路1

上のような積分路Cを考えます.

Cxa1(1x)b1dx=(1e2πia)01xa1(1x)b1dx+i02πeiax(1eix)b1dx=2ieiπaB(a,b)sinπaeiπb/202πei(a+(b1)/2)x(2sinx2)b1dx

一方, lnの主値は上の曲線内で1価正則に取れるので, この積分は0になります. よって,

02πei(a+(b1)/2)x(2sinx2)b1dx=2eiπ(a+(b1)/2)B(a,b)sinπa=2πΓ(b)eiπ(a+(b1)/2)Γ(1a)Γ(a+b)

a1b+c2と置き換えて,
02πeicx/2(2sinx2)b1dx=2πΓ(b)eiπc/2Γ(1c+b2)Γ(1+c+b2)0πeicxsinb1xdx=21bπΓ(b)eiπc/2Γ(1c+b2)Γ(1+c+b2)
この虚部を考えることにより, 証明ができました.

2個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361113203866886145 )

01ln1+ax1axdxx1x2=πarcsina

もとのツイートではsin1になっていますが, 僕はarcsin派なんですよね. 証明を書いていきます.

ln1+ax1ax=20n(ax)2n+12n+1
なので, 項別に積分していくと,
01ln1+ax1axdxx1x2=0n22n+1a2n+101x2n(1x2)1/2dx=0na2n+12n+101xn1/2(1x)1/2dx=0na2n+12n+1Γ(12)Γ(12+n)Γ(n+1)=π0n(12)nn!(2n+1)a2n+1=πarcsina
となって証明ができました.

3個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361120186884120576 )

ln(22cosx2)dx=2πζ(32)

こういうゼータ関数が出てくるのは, Mellin変換っぽいですね.

ln(22cosx2)dx=20ln(22cosx2)dx=40ln|2sinx22|dx=20x1/2ln|2sinx2|dx
0<Resとして,
0xs1ln(1eix)dx=0<n1n0xs1einxdx=isΓ(s)0<n1ns+1=isΓ(s)ζ(s+1)
s=12として, これの実部をとることにより,
20x1/2ln|2sinx2|dx=2πζ(32)
を得ます.

4個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361120737830965249 )

0cosx2cosxxdx=γ2

とりあえず, Mellin変換しよう.

0xs1(cosx2cosx)dx=12Γ(s2)cosπs4Γ(s)cosπs2=12(2sγ+O(s))(1+O(s2))(1sγ+O(s))(1+O(s2))=γ2+O(s)
ここで, s+0とすればよい.

5個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361137724728737797 )

0π/21tanxln(1+(tanx+sinhy)2cosh2y1+(tanxsinhy)2cosh2y)dx=2πarctantanhx2

ん?これ右辺にx出てきてるけど多分yだよね, と思って解いていきます.

まず, 少し準備をします.
01(1+x2)(1+a2x2)dx=11a0(11+x2a21+a2x2)dx=π2(1+a)
となります. ここから, ある定数Cがあって,
0arctanaxx(1+x2)dx=π2ln(1+a)+C
となりますが, a=0として, C=0を得ます.
0arctanaxx(1+x2)dx=π2ln(1+a)
これを用いて, 与えられた積分を考えていきます.

0π/21tanxln(1+(tanx+sinhy)2cosh2y1+(tanxsinhy)2cosh2y)dx=01x(1+x2)ln(1+(x+sinhy)2cosh2y1+(xsinhy)2cosh2y)dx=201x(1+x2)ln|1+i((sinhy+x)coshy)1+i((sinhyx)coshy)|dx=2Re01x(1+x2)ln(1+i((sinhy+x)coshy)1+i((sinhyx)coshy))dx=4Re(i01x(1+x2)arctan(xcoshy1+isinhycoshy)dx)=4Im(π2ln(1+coshy1+isinhycoshy))=2πarctan(sinhycosh2y1+coshy+sinh2ycosh2y)
となりました.

なんか結果が合いませんが, 数値的には確かに合ってたので, 次の問題にいきましょう.

6個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361144393151909888/photo/1 )

0πarctanlnsinxxdx=πarctan2ln2π

なにこれ, って感じですね. 少し考えても全く分からなかなったので, とりあえず数値を確認してみました.

0πarctanlnsinxxdx1.600756πarctan2ln2π1.305556
誤差にしては大きいかと思ったけど, 左辺が数値計算に向いてないという可能性もありますね, 僕には解けません.

7個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361150961683623938/photo/1 )

0x(1+x2)2dxtanhπx2=π2812

これはディガンマ関数の微分ですね. Binetの第2公式を2階微分すると出るはずなので, やってみます.

Binetの第2公式
lnΓ(z)=12ln2π+(z12)lnzz+20arctanxze2πx1dx
を二階微分すると,
ψ(z)=1z+12z2+4z0x(z2+x2)2(e2πx1)dx
よって,
0x(z2+x2)2(e2πx1)dx=14z(ψ(z)1z12z2)
これを用いて,
0x(1+x2)2tanhπx2dx=0x(1+x2)2dx+20x(1+x2)2(eπx1)dx=[12(1+x2)]0+120x((12)2+x2)2(e2πx1)dx=12+14ψ(12)1=π2812

8個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361151633397338112 )

fを周期Tの奇関数であるとき,
0f(x)xdx=πT0T/2f(x)tanπxTdx

こういうのはとりあえず積分区間を無限にしておくといい感じになる気がします.

f(x)xは偶関数だから,
0f(x)xdx=12f(x)xdx=12nZnT(n+1)Tf(x)xdx=12nZ0Tf(x)x+nTdx=14nZ0Tf(x)(1xnT+1x+nT)dx
ここで, πcotπzの部分分数展開,
πcotπz=12nZ(1zn+1z+n)
を用いると,
14nZ0Tf(x)(1xnT+1x+nT)dx=π2T0Tf(x)cotπxTdx=π2T(0T/2f(x)cotπxTdx+0T/2f(Tx)cotπ(Tx)Tdx)=πT0T/2f(x)cotπxTdx
となって, 示すことができました.

9個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361159002441220096 )

01tan1tanh1xtan1xπ+tanh1xtan1xdxx=π8lnπ28

見かけ倒しではなく, 全く解ける気がしません. 気を取り直して次いきましょう.

10個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361168004730540032 )

0π/4tan2ex2sin2xsin2xlntanxdx=12(1+lnπ2)

これは解ける, 見た瞬間そう思いました.

0<aとしておきます. t=tanxと置換して,
0π/4tanax2sin2xsin2xlntanxdx=01ta2t21+t22t1+t2lntdt1+t2=1201(ta1lnt2t(1+t2)lnt)dt=1201ta11lntdt+1201(1lnt2t(1+t2)lnt)dt
初項はFrullani integral
0f(ax)f(bx)xdx=(f()f(0))lnab
より,
1201ta11lntdt=120eaxexxdx=12lna
第2項は
1201(1lnt2t(1+t2)lnt)dt=120(exx2e2xx(1+e2x))dx
ここで, Mellin変換,
0xs1(ex2e2x1+e2x)dx=Γ(s)20xs1e2x1+e2xdx=Γ(s)21s0xs1ex+1dx=Γ(s)(121sη(s))
において, s0とすることで, η(0)=12,η(0)=lnπ2を用いて,
0(exx2e2xx(1+e2x))dx=lims0Γ(s)(121sη(s))=lims021sη(s)(ln2+η(s)η(s))=ln2lnπ2
よって, 求める積分は
12(lnaln2+lnπ2)=12(lna2+lnπ2)
となり, a=2eとすればよい.

今回は10問中8問解けましたが, 解けないものには全く手がつけられません, これから, とりあえず順番に取り組んでいきたいと思います.

投稿日:202134
OptHub AI Competition

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Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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