8
大学数学基礎解説
文献あり

有限生成加群上の全射自己準同型が同型であること

506
0
$$$$

初めての記事です。忘れてしまいそうな小ネタのメモをすることを兼ねて、テストのつもりで書いています。
以下の主張を証明します。

$A$を可換環、$M$を有限生成$A$-加群、$f:M\to M$$A$-準同型とする。
$f$が全射であるとき、$f$は同型である。

「幾何」を強く意識して証明を作ってみました。

$X\mapsto f$によって$M$$A[X]$-加群とみなします。
$M$$A$-加群として有限生成なので、$A[X]$-加群としても有限生成です。
さらに、$f$は全射なので、
$$M\otimes_{A[X]}A[X]/(X) \cong \mathrm{coker}(f) \cong 0$$
となります。
$M$は有限生成なので、従って、中山の補題より、$\mathrm{Spec}(A[X])$の中で、
$$\mathrm{Supp}(M)\cap V(X)=\emptyset$$
が成り立ちます。ただしここで$V(X)$はイデアル$(X)$に対応する閉部分集合です。
これは、$A[X]$-加群 (とくに$A$-加群) として
$$M\otimes_{A[X]}A[X,1/X]\cong M$$
が成り立つを意味し、従って、$X$-倍写像$M\to M$が、すなわち、$f:M\to M$が、可逆であることが従います。◻︎

参考文献

投稿日:202134
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中