素数とは
素数とは,1と自分自身以外に約数を持たない正の整数である。例としては,が挙げられる。これまで,素数にまつわる様々な定理が証明されてきたが,素数の規則性についてはまだ解明されていない。ミレニアム懸賞問題の1つである「Riemann予想」が解かれれば,素数の規則性が解明されるのではないかと言われているが,未解決である。
素数は無限個存在する
「素数は有限個しか存在しないのか?」という素朴な疑問が生まれる。結論は素数は無限個存在する。この事実は紀元前から知られており,様々な数学者によって証明がなされた。
Euclidによる証明(最もシンプルで有名!)
Euclid
素数が有限個(個)存在すると仮定する。その素数全体をと表すことにする。ここで,
という数を考えると,はいずれのでも割り切れない。よって,は個目の素数となるが,これは素数が個であることに反する。よって,素数は無限個存在する。
Eulerによる証明
Euler
素数が有限個(個)存在すると仮定する。その素数全体をと表すことにする。素因数分解の一意性により,
この式の右辺は調和級数であり,無限大に発散する。左辺については等比無限級数の公式から
であり,これは有限確定値である。これは右辺が発散することに反する。よって,素数は無限個存在する。
Fermat数を用いた証明
Fermat数とは,
を満たす数である。例えば,はFermat数である。この数から素数の無限性が証明できるというのだから驚きである。
まず,Fermat数の漸化式を与えよう。であることに注意すると,
よって,次の漸化式
が得られる。この漸化式を順次適用すると
となる。なので,次の命題が得られる。
命題1を使えば,次の命題が証明できる。
相異なる0以上の整数に対して,とは互いに素である。
とは入れ替えても一般性を失わないので,とする。命題1より
が成り立つ。ここで,とを共に割り切る素数が存在するとし,それをとする。このとき,上の式の右辺第1項はで割り切れる。もで割り切れるが,右辺第2項のも割り切らなければならないので,であることがわかる。一方,とは定義よりどちらも奇数なので,素因数を持たない。よって,とは互いに素である。
この命題2が証明できれば,素数の無限性が証明できる。
素数の無限性
各Fermat数()に対して,その素因数をそれぞれ1つ選ぶ。命題2より,Fermat数は互いに素なので,これにより得られた素数はいずれも相異なる。Fermat数は無限に存在するので,このようにすれば無限に素数を生成できる。よって,素数は無限個存在する。