が有理数であると仮定し,とする.ここでは正の整数である.次の多項式を考える.
ただし,ここでは後で定められる正の整数である.は整数係数の多項式であり,さらにについての次数が以上であることから,およびそのすべての導関数のにおける値は整数である(補足:はでの値がであり,の値がでなくなるのは以降だが,を回微分すると分母のはキャンセルされる).また,より,においても同様に,およびそのすべての導関数の値は整数となる(補足:にを代入してみればよい).次に,初等的な微積分の計算から,
が成立することがわかる.ここで二つ目の等号ではの定義およびが次の多項式であることから
となることを用いた.これよりさらに,
を得る.いま,すべてのおよびが整数であることから,も整数である.しかし,一方で,の範囲のに対して,
が成立する(補足:をで上から抑え,をで上から抑えた).これより,式(1)の左辺の積分に対して
が成立するが,上式右辺はを大きくしていくといくらでも小さくなる(補足:一般に任意の正数に対しが成り立つ).特に十分大きなに対してとできる.このようなに対しては,式(1)の左辺の積分は整数になり得ないが,式(1)の右辺のは整数であるから矛盾.したがっては無理数である.