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放物線を使った2次の相加平均と相乗平均の大小関係の証明

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放物線を使った2次の相加平均と相乗平均の大小関係の証明

○はじめに
すでに高校で習う数学Ⅱを勉強された方は,相加平均と相乗平均の間には次のような大小関係があることを知っているでしょう.

▶︎相加平均と相乗平均の大小関係
$ a>0,b>0 $のとき $ \frac{ \large{a+b} }{ \large{2} } \geqq \sqrt{ab} $ (等号が成り立つのは$a=b$のときである)

今回はこの不等式を,放物線を使って証明することを目標にしたいと思います.

まずは放物線$ y= x^{2} $上の点$ A( a,a^{2} ) $,点$ B( b,b^{2} ) $における接線の方程式を求めます.
$ y= x^{2} $を微分すると,
$$   y^{\prime}=2x $$
よって点Aにおける接線の方程式は,
$$ y=2a(x-a)+ a^{2} $$
$$ y=2ax-a^{2}  \cdots \cdots① $$
同様に点Bにおける接線の方程式も求めると,
$$ y=2bx-b^{2}  \cdots \cdots② $$
となります.
次に①,②の交点をPとし,Pの座標を求めます.
①,②を連立して$y$を消去すると,
$$ 2ax-a^2=2bx-b^2 $$
$$ 2(a-b)x=(a+b)(a-b) $$
 $a \neq b$として$ x= \frac{ \large{a+b} }{ \large{2} } $
これを①に代入して,
$$ y=2a(\frac{a+b}{2}) -a^{2}=ab $$
ゆえに点Pの座標は,
$$ P(\frac{a+b}{2},ab) $$
となります.
$ a=b $のときは,点Pは接点A,Bそのものとみなします.
不等式に出てくる数字が登場しました.
ここで今までの結果を図で見てみましょう.
図
さていよいよ示します.
ここで,$ f(x)=x^{2} $とおきます.
すると放物線は下に凸なので,点Pは常に放物線上またはその下側にあることから次の不等式が成り立ちます.
$$ f( \frac{a+b}{2} ) \geqq ab $$
$$ ( \frac{a+b}{2} )^{2} \geqq ab $$
あと一歩です.
$ a,b $$ a>0,b>0 $で選べば,両辺の平方根をとって,
$$ \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab} $$
また,等号が成り立つのはPが放物線上にあるとき,つまり$ a=b $だとわかりますね.
                             (証明終わり)

○最後に
いかがでしたか.
放物線という舞台の上で,そこから引かれた2本の接線の交点を追えば不等式の示す結果は直感的に理解できたでしょう.
また,ご存じの方も多いでしょうがこの不等式はさらに拡張されて,n次について相加平均と相乗平均の大小関係(nは自然数)を考えることもできます.
それは今回の放物線を使った証明で同様に示すのは困難ですが,今回証明にも登場した放物線の”凸性”のように,
曲線の凸性を生かしてn次の場合を示すことが可能です.

注意
参考にした文献はありません.
また図の作成にはGeoGebraを用いました.

投稿日:2021320

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kodera
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