ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2023午後06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです
2023午後06
上の可積分関数列及び可積分関数が等式
を満たすとする。以下の主張(1)(2)(3)が正しれば証明し、誤りであれば反例を挙げなさい。
- 等式
を満たすようなが存在する。 - の部分列で殆ど至る所に収束するようなものが取れる。
- 任意の有界連続関数及び任意のに対して等式
が成り立つ。
- 誤りである。まず
で定義する。このとき
である一方、任意のに対して
であるから、は所望の反例になっている。 - 正しい。まずを
と置いたとき
を満たすようにとる。以下簡単のためこれをとおく。このとき
であるから、特に数列は殆ど至る所各点収束している。 - 正しい。まずの部分列を任意にとる。このときこの部分列の部分列で殆ど至る所各点収束するようなが取れる。このときの連続性からも殆ど至る所各点収束する。測度空間の有限性・の有界性・有界収束定理から
がわかる。以上の結果と以下の補題から所望の結果が従う。
実数列が、任意の部分列がに収束する部分列を持つとき、もに収束する。
の収束しないとき、に近づかない部分列が取れるから対偶が言える。厳密な議論は
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