をマルコフ圏とする.
条件付き期待値
は次をみたすときregularであるという:
任意のと任意のに対し,conditional distribution (F, Definition 11.1)が存在する.
をregular objectとし,, とする.任意のとおよびに対し,を以下のように定める:
はmodulo-a.s.(F, Definition 13.1)で定まる.また,-a.s.で等しいおよびに対して-a.s.でである.
以下はcausal(F, Definition 11.31)とする.このときの確率空間の圏 (F, Definition 13.8)が定義される.
regular object とに対し,とおく(はmodulo -a.s. equalとする).は関手を定める.
regular objectsの部分圏
明らかにはregularである.でのregular objectsからなる部分圏を表す.
がconditional distributionを持つことは, displays the conditional independence (は縦棒が二本のやつの代わり,出し方わかんない,F, Definition 12.19) と同値であるから,補題はF, Proposition 12.20 (b) から直ちに従う.記事の証明はの場合に書き直しただけである.
補題から,はマルコフ圏であって,またconditional distributionを持つ.
とする.の射はpost-compositionによって写像を定める.この対応によって関手が定まる.
よって双関手を得る.
における条件付き期待値
を可測空間とマルコフ核のなすマルコフ圏とする.を離散可測空間とする.に対し,射は,により可測写像と1対1に対応する.
より一般にstandard Borel(ポーランド空間の定めるボレル可測空間)はregularであるが一応証明する.
任意の可測空間とをとる., , とおき,の周辺化をとおく.であるから,Radon-Nikodymによりなる上の非負値可測写像が存在する.であるから-a.s.でである.よっての射が (-a.s.) によって定まる.(なるについては適当に値を置き換えればよい.) はのconditional distributionである.
を確率空間,をsub-algebraとし,を可測写像に対応するマルコフ核とする.の射に対し,は通常の条件付き期待値に一致する(記号を濫用しての射と可測写像を同一視している).