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単純加群の零化イデアルは極大イデアルとは限らない

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$$\newcommand{Aut}[0]{\rm{Aut}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{char}[0]{{\bf char}} \newcommand{comp}[0]{\circ} \newcommand{core}[0]{\rm{core}} \newcommand{End}[0]{{\rm{End}}} \newcommand{gen}[1]{\langle #1 \rangle} \newcommand{imply}[0]{\Rightarrow} \newcommand{iso}[0]{\simeq} \newcommand{lnormal}[0]{\triangleleft } \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rnormal}[0]{\triangleright} \newcommand{semiprod}[3]{{#1}\ltimes_{#2}#3} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

題名の通りの反例を挙げます. (当然非可換環です.)

$M=\C[X]$とし, $L,R\in \End_{\C}(M)$を次を満たすように定義する:
$R(X^i)=X^{i+1},L(X^i)=X^{i-1}$(ただし$X^{-1}=0$とする)
ここで, 非可換環$A\subset\End_{\C}(M)$$L,R$で生成される$\C$代数とする. $M$は自然に$A$加群とみなせる。これが単純であることは次のようにわかる:
$A1_M=M$はすぐわかるので, $0\neq f\in M$を任意にとり, $Af\ni 1_M$を示せばよい. これは$f$の最高次の項が$cX^n$の時, $c^{-1}L^n(f)=1$となるのでわかる.
次に, ${\rm{Ann}}(M)=0$を示す.$0\neq g\in A$を任意にとると, $LR=1$より,$g=\sum c_{i,j}R^iL^j$と書ける. $c_{i,j}\neq 0$となる最大の$j$$n$とすると,$gX^n=\sum c_{i,n}X^i\neq 0$より, $g\notin {\rm{Ann}}(M)$となる.
最後に$A$が体でないことを示す. これは$L$$M$から$M$への写像と見たとき, 単射でないので$A$内で左逆元が存在しないことからわかる.

投稿日:2021327

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