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大学数学基礎解説
文献あり

多項式関数を0における微分係数で展開する

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どうも

こんにちは ごててんという者です クッパに句読点を奪われました よろしくおねがいします
Mathlogの練習にと実際に記事を書いてみることにしました 雑記事です

多項式関数を0における微分係数で展開したいとおもいます

準備と具体例

この記事の前提知識は数Ⅱです ※嘘です
中途半端に定義をします 多項式環と次数と斉次式は定義されているとします
あとは偏微分の定義を知っていれば読めるとおもいます
0は任意の非負整数dに対してもd次斉次式であるとします

多項式と多項式関数はかなり適当に同一視しています

f(x1,,xn)を次数がlの実数係数の多項式とするとき, m(=0,1,,l)次の斉次式fmによってf=f0+f1++fl と書いたときの成分fmm次成分と呼ぶ.

例を書きます 例があるとこの記事を見つけたその日たまたま調子が悪い人にブラウザバックをされない確率が上がると思ったので(そんなこと書くな)

f(x,y)=x4y+x3+3とするなら 5次成分がx4y,3次成分がx3,0次成分が3で、それ以外の成分はすべて0です

さて 上の例を用いてタイトルを回収していきましょう いっぱい偏微分すると
fxxxxy(0)=24, fxxx(0)=6, f(0)=3 を得ます

このとき!なんと!f(x,y)=fxxxxy(0)4!1!x4y+fxxx(0)3!0!x3+f(0) という式が成立します!!! 偏微分した回数と分母の階乗が対応しています!!!とても不思議ですね!!!!! 不思議なので 不思議です 絶対に不思議です 限りなく不思議です 不思議が発散しました もはや不思議ではないです

はい これはアレですね 0を代入して手に入る情報というのは定数項の情報であるので 偏微分によりいろいろな項を定数項にまで持ち込み ズレを補正する形ですべての項の値を把握しようとする営みであったわけです

真面目にやる

目隠し状態でやってみましょう  まずは1変数です f(x)を実数係数の1変数多項式とします
まず定数項の情報はf(0) で得られます n次成分の情報を取り出してみましょう

f(x)=a0+a1x+a2x2+ とするときf(n)(x)の定数項を考えます
n回の微分により定数となるのはn次の項anであり さらにその項は微分によりn倍, (n1)倍,, 1倍 となっています つまりn!倍であるということなので その定数項はn!an であるはずです よってf(n)(0)=n!an から an=f(n)(0)n! がわかります

したがって, f(x)=f(0)+f(0)1!x+f(0)2!x2+f(0)3!x3+ を得ることができます! ふー
まったく見たことがない珍しい見た目の式ですね まったく見たことがない

多変数がんばるぞ

面倒であることはすでに確定していますが 少しずつ片付けていきましょう 多分面倒ではないですし(どっちだよ)f(x1,,xn)=ai1,,inx1i1xninを実数係数のn変数多項式とします 定数項の情報はf(0,,0) で得られます さて 次はx1i1xnin の項の係数を調べます

かんたんです いっぱい偏微分しましょう i1++inx1i1xninf(0,,0)=i1!in!ai1,,in であることからすぐわかります この等式を証明します

f(x1,,xn)=ai1,,inx1i1xninを実数係数のn変数多項式とするとき, 以下が成立.

i1++inx1i1xninf(0,,0)=i1!in!ai1,,in.

非負整数の組 (i1,,in),(j1,,jn)が等しくないとする. すると整数m(1mn)があり imjmである.
im>jmであるなら, xmについてim回偏微分したものは0となる.
im<jmであるなら, aj1,,jnx1j1xnjnxmについてim回偏微分したものを多項式としてみると xmjmim を因数にもつことから, 最終的な代入により0となる.

すると, 項ai1,,inx1i1xnin を除きすべての項が偏微分により0となることとかんたんな微分の計算よりわかる.

さて 具体的な項の計算が終わったところで 結果をまとめるフェーズに入っていきます
はじめに多項式のm次部分を定義していたのでした m次部分ごとに考えていきます

i1++in=mとすると, 命題1より
ai1,,in=1i1!in!i1++inx1i1xninf(0,,0)=1m!m!i1!in!mx1i1xninf(0,,0).

ここで 多項係数 (mi1,,in)=m!i1!in!

を導入すると

ai1,,in=1m!(mi1,,in)mx1i1xninf(0,,0).

とかけて 少しすっきりします 次にi1++in=mを条件に総和をとってみます

i1++in=mai1,,in=1m!i1++in=m(mi1,,in)mx1i1xninf(0,,0).

暴力的な右辺に直感を入れるため 多項定理の主張を書いておきます

多項定理

(x1++xn)m=i1++in=m(mi1,,in)x1i1xnin.

じーーーっと式を眺めてやると 視力が低下... ではなく, xixi が対応してみえ 視力が低下します

視力を犠牲にして手に入れたこの直感を微分演算子に落とし込みましょう

正の整数mに対して, 微分演算子 (x1++xn)mを以下のように定める.
(x1++xn)m=i1++in=m(mi1,,in)mx1i1xnin.

また, m=0 のときはなにもしない演算子(恒等写像)とする.

さて この定義2を使って結果を書き直してみます

f(x1,,xn)=ai1,,inx1i1xninを実数係数のn変数多項式とするとき, 以下が成立.

i1++in=mai1,,in=1m!(x1++xn)mf(0,,0).

 最後に 全ての項を並べて書いてあげましょう

f(x1,,xn)=ai1,,inx1i1xninを実数係数のkn変数多項式とするとき, 以下が成立.

f(x1,,xn)=m=0k1m!(x1++xn)mf(0,,0).

ここまで読んでいただきありがとうございました~~~ 多項式関数のマクローリン展開でした(

参考文献

[1]
雪江 明彦, 代数学2 環と体とガロア理論
[2]
吹田 信之 新保 経彦, 理工系の微分積分学
[3]
永井 保成, 代数幾何学入門:代数学の基礎を出発点として
投稿日:2021330
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ごててん
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位相空間と環が好きです

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