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ゼータ関数の値を精度よく求める方法と解析接続

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\begin{equation} \zeta (s)=\sum_{k=0}^{\infty} \frac{1}{k^{s}} \ \ \ (\Re s >1) \end{equation}
で表されるリーマンゼータ関数に対し以下の公式が成り立ちます。

\begin{equation} \zeta(s)=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^s}-\frac{1}{1-s}n^{1-s}-\frac{1}{2}n^{-s}+\sum_{j=1}^{m} \frac{B_{2j}}{(2j)!}(s)_{2j-1}n^{-s-2j+1}+O(n^{\Re(-s)-2m-1}) \end{equation}
ここで、$(s)_n=s(s+1)(s+2)\cdots(s+n-1)$(上昇階乗冪)です。

証明には以下のオイラー・マクローリンの公式を使います。

オイラー・マクローリンの和公式

\begin{equation} \sum_{k=1}^{N}f(x)=\int_{0}^{N}f(x)dx+\frac{f(N)}{2}-\frac{f(0)}{2}+\sum_{j=1}^{m} \frac{B_{2j}}{(2j)!}(f^{(2j-1)}(N)-f^{(2j-1)}(0))+R_{2m+1} \end{equation}

\begin{equation} R_m=(-1)^{(m+1)}\int_{0}^{N}\frac{B_n(x-\lfloor x \rfloor )}{m!}f^{(m)}(x)dx \end{equation}
ただし$B_n$はベルヌーイ数、$B_n(x)$はベルヌーイ多項式です

$m$$1$大きくとってとおいて$f(x)=\frac{1}{(n+x)^s},{N \to \infty}$とし、$B_n(x-\lfloor x \rfloor )$が有界であることに注意して積分を評価すると示すことができます。
この公式を使うことで定義通りにゼータ関数を計算するよりも速く計算することができます。

例として$\zeta(2)=\frac{\pi^2}{6}=1.644934066\cdots$を計算することを考えます。定義通りに計算すると$1.6449$に達するまで約3万項足す必要がありますが、$\zeta(2)\simeq \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^s}-\frac{1}{n}-\frac{1}{2n^2}+\frac{1}{6n^3}$(上の公式で$m=1$としたもの)とすると、$n=10まで足した段階で$近似値が$1.64493439\cdots$となり少ない項である程度精度のよい値が求まります。

$m$が大きいと急激に精度が良くなるように見えますが$n$が小さすぎるとむしろ精度が悪化します。特に$n$を固定して$m\to\infty$とすると収束しません。

証明は省略しますがこの公式は解析接続されたゼータ関数に対しても成り立ち、そこからゼータ関数の定義域を拡張した表示

\begin{equation} \zeta(s)=\lim_{n\to \infty}\left(\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^s}-\frac{1}{1-s}n^{1-s}-\frac{1}{2}n^{-s}+\sum_{j=1}^{m} \frac{B_{2j}}{(2j)!}(s)_{2j-1}n^{-s-2j+1}\right) \\(s\ne 1,\Re s>-2m-1) \end{equation}

が得られます。(ここで証明は省略します)

例として$s\ne 1,\Re s>-3$で成り立つ表示
\begin{equation} \zeta(s)=\lim_{n\to \infty}\left(\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^s}-\frac{1}{1-s}n^{1-s}-\frac{1}{2}n^{-s}+\frac{s}{12}n^{-1-s}\right) \end{equation}
を使っていくつかの値を計算してみると、
\begin{eqnarray*} \zeta(0)&=&\lim_{n\to \infty}\left(\sum_{k=1}^{n}1-n-\frac{1}{2}\right)\\ &=&-\frac{1}{2} \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} \zeta(-1)&=&\lim_{n\to \infty}\left(\sum_{k=1}^{n}k-\frac{1}{2}n^{2}-\frac{1}{2}n-\frac{1}{12}\right)\\ &=&-\frac{1}{12} \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} \zeta'(0)&=&\lim_{s\to 0}\lim_{n\to \infty}\left(-\sum_{k=1}^{n}\frac{\log k}{k^s}-\frac{1}{(1-s)^2}n^{1-s}+\frac{\log n}{1-s}n^{1-s}+\frac{\log n}{2}n^{-s}+\frac{1}{12}n^{-1-s}-s\frac{\log n}{12}n^{-1-s}\right)\\ &=&\lim_{n\to \infty}\left(-\log n! -n+n\log n+\frac{\log n}{2}+\frac{1}{12}n^{-1}\right)\\ &=&\lim_{n\to \infty}\left(\log \frac{\sqrt{n}n^n}{e^n n!}+\frac{1}{12}n^{-1} \right)\\ &=&\frac{\log 2\pi}{2} \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} \zeta'(-1)&=&\lim_{s\to -1}\lim_{n\to \infty}\left(-\sum_{k=1}^{n}\frac{\log k}{k^s}-\frac{1}{(1-s)^2}n^{1-s}+\frac{\log n}{1-s}n^{1-s}+\frac{\log n}{2}n^{-s}+\frac{1}{12}n^{-1-s}-s\frac{\log n}{12}n^{-1-s}\right)\\ &=&\lim_{n\to \infty}\left(-\log K(n+1) -\frac{n^2}{4}+\frac{n^2\log n}{2}+\frac{n\log n}{2}+\frac{1}{12}+\frac{\log n}{12}\right)\\ &=&\lim_{n\to \infty}\left(\log \frac{n^{n^2/2+n/2+1/12}}{e^{n^2/4}K(n+1)}+\frac{1}{12} \right)\\ &=&\frac{1}{12}-\log A \end{eqnarray*}
($K(n)=\prod^{n-1}_{k=1}k^k$はK関数、$A=\lim_{n\to \infty}\frac{K(n+1)e^{n^2/4}}{n^{n^2/2+n/2+1/12}}$はグレイシャー・キンケリンの定数)
などの値を求めることができます。

投稿日:202142

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AutAg
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