Lang Linear Algebra を読み終えて、線形代数の本、2冊目に取り組んでいました。次の問題をずーっと考えていました。
Steven Roman著 Advanced Linear Algebra Exercise 1.23より引用
Letand be bases for a vector space . Let . Show that there is a permutation of such that
and
are both bases for.
要するに、基底の入れ替えは全取り換えでなくても一部同士でできるよという話なわけですね。主張としては直感的にわかりやすいのですが、いざ証明してみようとすると……。
うーんわからない。私の頭の問題かもしれませんが、思ったより手強いぞと。
上記の演習問題は、線形空間の基底変換としては強めの命題です。よく一般的な教科書に載っているやつを思い出してみます。いわゆる演習問題の「片側」バージョンです。
は
よって
同様の議論によって, 帰納的に, 一次独立な
である.
したがって,
は
上記の証明では、あまり細かいことは気にしないで、とにかく
線形代数の教科書によく載っている、一次独立な元の組を拡張して基底とすることができるというアレと本質的には同じ議論で示せるわけです。
しかしながら、
も同時に基底にしようと思うと、同様の(雑な)論法でやっていると簡単に破綻してしまいます。例を挙げてみます。
命題1の証明の論法に従うと,
しかし,
この例からもわかるように、演習問題を解くにあたっては、さらなる精査が必要なようです。
実はこの演習問題にはヒントが付いていました。それによると、余因子展開の一般化を利用してくれということです。
1行1列の余因子展開はともかく、一般形は今まで使ったこともない式だったのですが、調べてみました。証明は自分なりに付けてみました(誤りがあるかもしれません)。
また,
で定める.
(
このとき,
が成り立つ.
また, 写像
それから,
以上の同一視の下で,
ここで,
この同一視において,
が成り立つこと,それと
ここで,
この行列
……
……
したがって,
が成り立つ.
このことに注意して, 上記基本変形に対応する置換を各項
すると, ②は次の式に等しいことがわかる.
一般の余因子展開を用いて、次を示します。
が成り立つので, 少なくとも1つの組
よって, 各
いよいよ本丸へと突入します。
補題3より, 基底
と区分けしたとき,
となり, 可逆であるから,
は
また,
となり, 可逆であるから,
は
ふう。大変でしたが、何とか着地できました。
もしもっと簡単に証明できるよという方法があればぜひ教えて下さい!