さて, Radon変換の逆変換公式を導こう. 前半, 後半に分けたのは後半の内容が難しいからであって, 面倒臭かった訳ではない. 多分.
で定まるものであった. 文献によっては, これでもかと簡単に
と書かれたりもする. 超関数の概念を用いれば, Radon変換は1次元のデルタ関数を用いて,
と書いてもよい.
Radon変換の双対を考えるが, Fourier変換のような対称性は無いことに注意せよ.
関数
で定義する. ここで,
関数の定義域の条件は少し話がズレるのでここでは省略し, 参考文献に譲る. 少なくとも, この記事内においてはマズいことは起きない.
が成り立つ.
を考えよう. 以下のような関係,
があるので, 双対Radon変換は固定したベクトル
と書くことが出来る.
従って, Radon変換の双対Radon変換は,
となるが, 積分領域に注意すれば, 以下を得る:
次に,
となるが,
第一積分を極座標表示して, Fubiniの定理を用いると,
となり,
を得て, 証明が完了する.
証明内では
なる特異積分で定義する. ここで, 定数
である.
Rieszポテンシャルは見ての通り特異積分作用素であるが,
を満たす. すなわち, ラプラシアンの逆作用素の1つの表現を与えている.
さて, Rieszポテンシャルを用いれば, 補題1は,
と書くことが出来る. この係数を計算すると, 以下が得られる:
が成り立つ. ここで, 定数
Rieszポテンシャルによる表現,
を用いれば, 補題1の結果を
と書くことが出来る. 従って, 擬微分作用素の意味で
となり, 証明が完了する.
これで, 目標であったRadon変換の逆変換公式が得られた.
参考文献は以下のノートと, そのノートの参考文献になります.