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この記事では, 有名な, チェザロ和の極限に関する以下の性質を, 高校数学で証明しようと思います.
この行為になんの意味があるのかはわかりませんが, まあ高校数学は縛りプレイ, っていうやつです.
主張は以下です.
これは過去に東大でも, これを背景とした問題が出たらしいですね.
まあでも, なんか東大でチェザロ和が出た!とか騒ぎ立てる人もいますが, 実際には知らなくても十分対処できるように誘導がついていたので, 何を大袈裟なことを言っているんでしょうという感じですね.
さて, 予備校に対する文句(?)はこのくらいにして, 本題に移ろうと思います.
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(証明)
まず, 連続関数$f(x)$が極限値$\ds\b=\lim_{x\to\infty}f(x)$を持つとき
$$\lim_{x\to\infty}\frac1x\int_0^xf(t)\,dt=\b$$
を示します.
積分型平均値の定理を使います. 即ち, 実数$a,b$に対して$a$と$b$の間に実数$c$が存在して
$$\int_a^bf(t)\,dt=(b-a)f(c)$$
が成り立つことを利用します. (これの証明は, $f(x)$の原始関数に通常の平均値の定理を適用すれば良いです.)
$a=\sqrt{x},b=x$として両辺を$x$で割れば
$$\frac1x\int_{\sqrt{x}}^{x}f(t)\,dt=\Big(1-\frac1{\sqrt{x}}\Big)f(c)\space(\sqrt{x}< c< x)$$
となり, $x\to\infty$の極限をとることで
$$\lim_{x\to\infty}\frac1x\int_{\sqrt{x}}^{x}f(t)\,dt=\b$$
となります.
また, $f(x)$は有界なので($x\to\infty$で収束するので) $|f(x)|< M$なる定数$M$をとることができて,
$$
\frac1x\,\bigg|\int_0^{\sqrt{x}}f(t)\,dt\ \bigg|<\frac1x\int_0^{\sqrt{x}}M\,dt=\frac{M}{\sqrt{x}}\to0\space(\mathrm{as}\ x\to\infty)
$$
以上より,
$$\lim_{x\to\infty}\frac1x\int_0^xf(t)\,dt=\b$$
が示されました.
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ここで, $f(x)$を
$$ f(x)=a_n+(x-n)(a_{n+1}-a_n)\space(n\leq x\leq n+1,\ n=0,1,\ldots)$$
と定めます. $f(n)=a_n$を満たす折れ線グラフ📈のような感じです.
すると, $f(x)$は連続であり, $\ds\lim_{x\to\infty}f(x)=\limn a_n=\a$となります.
$\ds\int_k^{k+1}f(x)\,dx=\frac{a_k+a_{k+1}}{2}$ ですから,
$$\int_0^nf(x)\,dx=\sum_{k=1}^na_k+\frac{a_0+a_{n+1}}{2}$$
であり, 両辺を$n$で割って前定理を適用することで, ($a_{n+1}$は有界なので)
$$\limn\frac1n\sum_{k=1}^na_k=\a$$
が示されました.
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読んでくださった方, ありがとうございました.
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