では環境破壊を始めていこうと思います. どうせ証明もアウトラインしか書いてないとこあるし.
集合 M と写像 c:P(M)→P(M) の組 (M,c) であって, 次の性質を充たすものを前幾何という:
前幾何 (M,c) が幾何であるとは, 次の性質を充たすことをいう:
長ったらしいですね. というわけで例をみていきましょう.
集合 X に対して, Y⊂X に対し Y を充てる写像 c:P(X)→P(X) を取ると, (X,c) は前幾何となる.
前幾何の条件が充たされることをひとつずつ確認していく.
よって (X,c) は前幾何である. さらに, a∈X について c({a})={a} が成り立つので, これは幾何である.
無向グラフ (V,E) について, a∈V に対し, a と辺で接続している頂点全体を N(a) とおき, また A⊂V に対して N(A)=⋃a∈AN(a) と定義する. このとき, c(A)=⋃n∈NNn(A) とおくと, (V,c) は前幾何となる.
条件を確かめていく.
例にあげた前幾何はいずれも c(A)=⋃a∈Ac({a}) を充たす.
前幾何 (M,c) であって, c(A)=⋃a∈Ac({a}) を充たすものを自明な前幾何という.
体 k 上のベクトル空間 V について, A⊂V に対し c(A) を A が張る V の部分空間の台集合として定める. このとき, (V,c) は前幾何となる. この前幾何について, V が 2 次元以上であるときには自明ではない.
前幾何 (M,c) について, A⊂M が独立であるとは, 任意の a∈A について a∉c(A∖{a}) が成り立つことをいう.
前幾何 (M,c) と A⊂M に対して, B が A の基底であるとは, 次の性質を充たすことをいう:
前幾何 (M,c) と集合 A⊂M に対して, A には基底が存在する.
A に含まれる独立集合全体の集合に包含によって順序をいれたものは Zorn の補題より極大元を持つ.
このとき極大元を B として任意に取る. このとき, A⊂c(B) が成り立っていないならば, c(B) にない A の元 a を任意に取ると, B の極大性より B∪{a} は独立でなくなる. a∉c(B) より, ある b∈B が存在して b∈c(B∪{a}∖{b}) が成り立つ.
ここで, b∉c(B∖{b}) であったため, a∈c(B∖{b}∪{b})=c(B) となりこれは矛盾である. よって, B は A の基底であった.
前幾何 (M,c) と X⊂M について cX(A)=c(A∪X) として定まる cX は M 上に前幾何を定める.
前幾何 (M,c) と A⊂M とその基底 B, C に対して, B と C の濃度は等しい.
B が有限である場合と無限である場合にわけて考える.
B が有限である場合, 濃度についての帰納法により示す. B=∅ であるとき, c∈C なる元について c∈c(C∖{c}) が成り立つため, これは矛盾する. よって C=∅ である. B={b1,…,bn} とかけ, また C={c1,…,cm} とかけるとき, {b2,…,bn} が基底でないことから, C の元で c({b2,…,cn}) に含まれないものが存在する. この C の元を c1 とおく. ここで c1∈c(B)∖c({b2,…,bn}) より, b1∈c({c1,b2,…,bn}) が成り立つため, {c1,b2,…,bn} もまた A の基底となる. ここで, (M,c{c1}) においては {b2,…,bn}, {c2,…,cm} のいずれも基底となる. このとき帰納法の仮定により, n=m が成り立つ.
B が無限集合である場合, b∈B について b∈c(Yb) となるような有限集合 Yb⊂C が存在する. このとき b に Yb を充てる写像 f:B→P<ω(C) を考える. このとき, Y∈P<ω(C) について f−1(Y) が無限集合であると, f−1(Y) の独立性より, 上記の有限の場合の結果に違反する. よって f−1(Y) は有限集合である. したがって |B|≤|C| が成り立つ. 同様に |C|≤|B| が成り立つ.
前幾何 (M,c) と A⊂M について, A の次元とは, A の基底の濃度のことをいう.
というわけでもうこれくらい. 納得した ?
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