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単項イデアルの生成元が単元で移り合わない例について(再考)

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昨日の例は自分のミスで反例ではなかったので、改めて考えてみた。

$(\alpha)=(\beta)$なら$\alpha=s\beta, \beta=t\alpha$と表せるから、これらが不定元となるような環を考える。つまり$\alpha, t, s$を不定元として、$\beta:=t\alpha$と定義する。すると$\alpha=s\beta=st\alpha$となるので、これが常に成り立っていればよい。

$K$を体として、$R=K\lbrack \alpha, s, t \rbrack/(\alpha-st\alpha)$と定める。このとき$\beta:=t\alpha$とすると$\alpha=st\alpha=s\beta$となる。また$(\alpha)=(st\alpha)=(s\beta)\subset(\beta)=(t\alpha)\subset(\alpha)$より$(\alpha)=(\beta)$が成り立つ。

主張 $\alpha, \beta$は単元で移り合わない。

ある$u$が存在して$\alpha=u\beta$$R$において成り立つとする。このとき$\alpha-u\beta\in (\alpha-st\alpha)$より、ある$f$が存在して$\alpha-ut\alpha=f(\alpha-st\alpha)$を満たす。このとき$\alpha(1-ut-f+fst)=0$だから多項式環の整域性より$1-ut-f+fst=0$である。$u$について解きたいが$t$が邪魔なのでなんとかしたい。

$f=1-t(u-fs)$なので$g:=u-fs$とおくと$f=1-tg$となる。すると$u=(1-tg)s+g=(1-ts)g+s$を得る。ここでもし$u$$R$において単元なら、ある$p, q$が存在して

$$ p\lbrack (1-ts)g+s \rbrack+q\lbrack \alpha-st\alpha \rbrack=1 $$

と表せる。$\alpha=0$を代入すると特に$p(s, t)\lbrack (1-ts)g(s, t)+s\rbrack=1$が成り立つ。しかし全次数を考えると左辺が$0$次になることはないので矛盾する。

また、ある$v$が存在して$\beta=v\alpha$$R$において成り立つとする。このとき$t\alpha-v\alpha\in (\alpha-st\alpha)$より、ある$h$が存在して$t\alpha-v\alpha=h(\alpha-st\alpha)$を満たす。同様に$t-v=h(1-st)$だから、$v=-h(1-st)+t$を得る。残りの議論も同様に従う。

所感

今度は大丈夫なハズ…。もし間違ってたら是非コメント等で指摘して頂けると助かります。

もう少し簡単な例は無いのかな。非整域は魔境。

投稿日:202153
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