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大学数学基礎解説
文献あり

一般化Sobolev空間

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一般化Sobolev空間

何か書こうかなと思いつつ長いの書くのは面倒だな〜と思っていたら, お蔵入りになっていた面白いノートがあったので, 記事にして成仏させてあげることにしました.

定義しかありませんが, 気になったら勉強してみてください. そして私に教えてください.

いい感じの減衰度を持つ空間

以下の条件を満たすRn上実連続関数全体の成す空間をMと表す:

  1. 0=ω(0)ω(ξ+η)ω(ξ)+ω(η).
  2. Rnω(ξ)ξn+1dξ<.
  3. aR, bR>0 s.t. ω(ξ)a+blogξ.

ただし, japanese bracketξ=1+|ξ|2に注意.

さらに, ξ0上の1変数凹関数Ωを用いてω(ξ)=Ω(|ξ|)と表されるωM全体をMcと書くことにし, これ以降, MといえばMcを考えるものとする.

目的のため,Schwartzクラスを拡張した空間を定義する.

ウルトラ超関数

固定したωMcに対し, 次の関数空間を定義する:
Sω(Rn)={φL1(Rn):φ,φ^C(Rn), α:multi-index, λ0 s.t. pα,λ(φ)<, πα,λ(φ)<}.
ここで, 以下のセミノルムを定義した:
pα,λ(φ)=supxeλω(x)|αφ(x)|,πα,λ(φ)=supξeλω(ξ)|αφ^(ξ)|.
この位相的双対空間Sωの元をウルトラ超関数(ultra-distribution)と呼ぶ.

一般に, Schwartz超関数を減衰度の観点から拡張した超関数はウルトラ超関数と呼ばれる. これは適当な文献を参照せよ.

Sω(Rn)においてω(ξ)=logξとしたものは従来のSchwartzクラスと一致する.

次に, ωMcに対して, 空間Kω(Rn)
Kω(Rn)={k:positive function:ξ,ηRn, λ>0 s.t. k(ξ+η)eλω(ξ)k(η)}で定めておく.

一般化Sobolev空間 (generalized Sobolev space)

固定したωMckKω(Rn)に対し, 一般化Sobolev空間
Bp,kω(Rn)={fSω(Rn):Rn|k(ξ)f^(ξ)|pdξ<}
で定義する. 対応するノルムは以下である:
fBp,kω=(Rn|k(ξ)f^(ξ)|pdξ)1p.

p=2のときには内積が入り, f,gB2,kω=k()f^,k()g^L2で与えられる.

さらに, k(ξ)=ξsを選べば,通常のSobolev空間Hs(Rn)と一致する: B2,slog(Rn)=Hs(Rn).

この構成はほとんど知られていませんが, 空間の拡張にはキリがないことを再認識させてくれて, 個人的には面白かったです. 続きは参考文献を見てみてください.

参考文献

[1]
R. S. Pathak, The wavelet transform, Atlantis Studies in Mathematics for Engineering and Science, Atlantis Press/World Scientific, 2009
投稿日:202153
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