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多重階乗の近似公式(Stirlingの公式の一般化)

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Mathlog初カキコ。とりあえずはてなブログの僕の記事適当にコピペしつつMathlogの機能使ってアレンジしてみます(変なとこあったら教えてください)。

非負整数$ n $に対し、$ n $の階乗とは、$ 1 $から$ n $までの全ての整数の積のことを言い、$ n! $と表記します。ただし、$ 0! := 1$とします。$ n! $は明らかに$ n\to\infty $で発散しますが、Stirlingの公式はこの漸近式を与えます$\colon$

Stirlingの公式

$$ n!\sim\sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n\ \ \ (n\to\infty) $$

さて、階乗を一般化した概念として、多重階乗$ n!_m $($n\overbrace{!\cdots !}^{m}$と書く場合もあります。ただし、$ m $が小さければ、$\overbrace{!\cdots !}^{m}$と書かずに個数分書くのが一般的です(多分))というのがあり、正の整数$m$と整数$n$に対して、次のように帰納的に定義されます(Wikipediaからパクります←オイ)$\colon$

多重階乗

$$ n!_m := \begin{cases} n\{(n-m)!_m\} & (n\ge1) \\ 1 & (-m+1\le n\le 0) \\ 0 & (n\le -m) \end{cases} $$

つまり、$n!_m$$m-1$個飛ばしの整数の積を表します。この概念にもStirlingの公式と同様に近似公式を考えることができます。

なお、定義を見れば分かるように、$n!_m$$ n $$ m $で割った余りによって挙動が変わってしまうので、より求めやすくかつ分かりやすくするために、$ (mn-k)!_m $の漸近公式を求めることにします($k$$0\le k\le m-1$なる整数)。

すると、近似公式はこのようになります$\colon$

多重階乗の近似公式

$$ (mn-k)!_m\sim\frac{\sqrt{2\pi}}{\Gamma(1-\frac{k}{m})}n^{\frac{1}{2}-\frac{k}{m}}\left(\frac{mn}{e}\right)^n\ \ \ (n\to\infty) $$

道具として、Stirlingの公式と、階乗の一般化であるGamma関数の無限積表示
$$ \Gamma(z)=\lim_{n\to\infty}\frac{n^zn!}{\prod_{j=0}^{n}(z+j)} $$
を用います。以下、$m$$k$は有限であることに注意しましょう。

まず、上記の無限積で$ z=1-\frac{k}{m}$とすると
$$ \Gamma\left(1-\frac{k}{m}\right)=\lim_{n\to\infty}\frac{n^{1-\frac{k}{m}}n!}{\prod_{j=0}^{n}(1-\frac{k}{m}+j)} $$
であり
$$ \begin{align*} \prod_{j=0}^{n}\left(1-\frac{k}{m}+j\right) &=\frac{1}{m^{n+1}}\prod_{j=0}^{n}\{m(j+1)-k\} \\\\ &=\frac{(m(n+1)-k)!_m}{m^{n+1}} \\\\ &=\frac{m(n+1)-k}{m^{n+1}}(mn-k)!_m \end{align*} $$
より
$$ (mn-k)!_m\sim\frac{n^{1-\frac{k}{m}}n!}{\Gamma(1-\frac{k}{m})}\cdot\frac{m^{n+1}}{m(n+1)-k}\ \ \ (n\to\infty) $$
が分かります。ここで、Stirlingの公式より
$$ \begin{align*} n!\frac{m^{n+1}}{m(n+1)-k}&\sim\sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n\frac{m^{n+1}}{m(n+1)-k} \\\\ &=\sqrt{2\pi n}\left(\frac{mn}{e}\right)^n\frac{m}{m(n+1)-k} \\\\ &=\sqrt{2\pi n}\left(\frac{mn}{e}\right)^n\frac{1}{n+1-\frac{k}{m}} \\\\ &\sim\sqrt{\frac{2\pi}{n}}\left(\frac{mn}{e}\right)^n \end{align*} $$


なので
$$ (mn-k)!_m\sim\frac{\sqrt{2\pi}}{\Gamma(1-\frac{k}{m})}n^{\frac{1}{2}-\frac{k}{m}}\left(\frac{mn}{e}\right)^n\ \ \ (n\to\infty) $$
が従います。イェイ!

Mathlog扱いやすすぎて草。はてなブログとは大違いや...。これからこっちメインにしようかな(暫くははてなブログの記事をこっちに移植する作業しかせんけど)。

投稿日:202153
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投稿者

京大理学部B3数理科学系

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