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【東京大学2021年度入試数学(理系)第3問】ちょっと重めの定積分の計算

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第3問は関数と図形の問題と言うよりは,がっつりと定積分の計算問題です.

問題

関数
\begin{equation}    f(x) = \frac{x}{x^2 + 3} \end{equation}
に対して,$y = f(x)$ のグラフを $C$ とする。点 $A(1, f(1))$ における $C$ の接線を
\begin{equation}    l : y = g(x) \end{equation}
とする。

  1. $C$$l$ の共有点で $A$ と異なるものがただ $1$ つ存在することを示し,その点の $x$ 座標を求めよ。

  2. (1) で求めた共有点の $x$ 座標を $\alpha$ とする。定積分
    \begin{equation}    \int_{\alpha}^{1}\{f(x) - g(x)\}^2 dx \end{equation}
    を計算せよ。

解答解説

この問題の (1) はおまけで,本番は (2) です.見るからに計算が重いので,最初から飛ばす選択肢もあると思います.

(1) の解答

$g(x)$ を求めて $f(x) = g(x)$ を解けば終わりです.

$f'(x) = \displaystyle\frac{(x^2 + 3) - 2x^2}{(x^2 + 3)^2} = \frac{-x^2 + 3}{(x^2 + 3)^2}$ であり,$f(1) = \displaystyle\frac{1}{4}$, $f'(1) = \displaystyle\frac{2}{4^2}=\frac{1}{8}$ でなので,$g(x) = f'(1) (x - 1) + f(1) = \displaystyle\frac{1}{8}x + \frac{1}{8}$ となります.

$f(x) = g(x)$ を解くと,$8x = (x + 1)(x^2 + 3)$ から $x^3 + x^2 -5x + 3 = 0$ となり,$(x - 1)^2 (x + 3) = 0$ すなわち $x = 1$$x = -3$ が得られます.

実際,$A\left(1, \displaystyle\frac{1}{4}\right)$ とは別の唯一の共有点 $\left(-3, -\displaystyle\frac{1}{4}\right)$ が得られました.答え $\underline{x=-3}$

(2) の解答

$\{f(x) - g(x)\}^2 = \{f(x)\}^2 - 2f(x)g(x) + \{g(x)\}^2$ として計算した方がいいでしょう.$\{g(x)\}^2$ の積分は簡単で.残りが問題となります.

\begin{align} \{f(x)\}^2&=\left(\frac{x}{x^2+3}\right)^2=\frac{x^2}{(x^2+3)^2}\\ f(x)g(x)&=\frac{x}{x^2+3}\times\frac{1}{8}(x+1) =\frac{1}{8}\times\frac{x^2+x}{x^2+3}\\ &=\frac{1}{8}\left(1+\frac{x}{x^2+3}-\frac{3}{x^2+3}\right)\\ \{g(x)\}^2&=\frac{1}{64}(x+1)^2 \end{align}
ですので,各項の積分を求めます.書き忘れましたが,(1) より $\alpha = -3$ です.

以下の2つの式で $x = \sqrt{3} \tan \theta$ としています.$\theta = -\displaystyle\frac{\pi}{3}$ のとき $x = -3$ で,$\theta = \displaystyle\frac{\pi}{6}$ のとき $x = 1$ で,$-\displaystyle\frac{\pi}{3} \leqq θ \leqq \frac{\pi}{6}$ の範囲で $x = \sqrt{3} \tan \theta$ は単調増加しているので,置換することが可能です.
\begin{align} \int_{-3}^{1}\frac{x^2}{(x^2+3)^2}dx &=\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\frac{3\tan^2\theta}{(3\tan^2\theta+3)^2}\times\sqrt{3}\times\frac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{\cos^2\theta}d\theta\\ &=\frac{\sqrt{3}}{3}\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\frac{\sin^2\theta\cos^2\theta}{(\sin^2\theta+\cos^2\theta)^2}\times\frac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{\cos^2\theta}d\theta\\ &=\frac{\sqrt{3}}{3}\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\sin^2\theta\ d\theta =\frac{\sqrt{3}}{3}\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\frac{1-\cos 2\theta}{2}d\theta\\ &=\frac{\sqrt{3}}{6}\left[\theta-\frac{1}{2}\sin 2\theta\right]_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}} =\frac{\sqrt{3}}{6}\left(\frac{\pi}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}\right)\\ &=\frac{\sqrt{3}\pi}{12}-\frac{1}{4}\\ \int_{-3}^{1}\frac{3}{x^2+3}dx &=\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\frac{3}{3\tan^2\theta+3}\times\sqrt{3}\times\frac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{\cos^2\theta}d\theta\\ &=\int_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}}\sqrt{3}\ d\theta =\left[\sqrt{3}\theta\right]_{-\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{6}} =\frac{\sqrt{3}}{2}\pi \end{align}

上の2つの計算が最も面倒な部分ですが,置換そのものは典型的なので問題ないかと思います.

残りは,
\begin{align} \int_{-3}^{1}1\ dx&=[x]_{-3}^{1}=4\\ \int_{-3}^{1}\frac{x}{x^2+3}dx&=\left[\frac{1}{2}\ln(x^2+3)\right]_{-3}^{1}=\frac{1}{2}(\ln 3-\ln 12)=-\frac{1}{2}\ln 3\\ \int_{-3}^{1}(x+1)^2dx&=\left[\frac{1}{3}(x+1)^3\right]_{-3}^{1}=\frac{1}{3}(8+8)=\frac{16}{3} \end{align}
となります.ここで $\ln$ は自然対数です.

これですべての項の積分が求まりました,

以上から,
\begin{align} \int_{-3}^{1}\{f(x)-g(x)\}^2 dx &= \left(\frac{\sqrt{3}}{12}\pi-\frac{1}{4}\right)-\frac{1}{4}\left(4-\frac{1}{2}\ln 3-\frac{\sqrt{3}}{2}\pi\right)+\frac{1}{64}\times\frac{16}{3}\\ &= \underline{\frac{5\sqrt{3}}{24}\pi+\frac{1}{8}\ln 3-\frac{7}{6}} \end{align}
が答えとなります.

感想

個人的にあまり積分になじみがないので記憶にないのですが, $\displaystyle\frac{1}{x^2+3}$ の積分は見かけるものの,$\displaystyle\frac{x^2}{(x^2 + 3)^2}$ の積分はあまり知られていない気がします.もしそうならば,ここが鬼門になったかと思います.

ただし,知らなかったとしても,分母の形から $x = \sqrt{3} \tan \theta$ とおいて試してみたいところです.それができれば解けたでしょう.

もっとも,分かっていたとしても計算が面倒で,解くのに時間がかかると思います.また,きれいな計算とはいいがたいので計算ミスもしやすい.他の問題とのかね合いでスキップすることも選択肢に入れていい問題だと思います.

問題そのものに面白みはないかもしれませんが,重い計算を苦も無くこなせる受験生であれば有利に働く,差のつく問題だったと思います.

投稿日:202156

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投稿者

名前はトムヤムクン(TomYumGoong)と読みます.仕事で数学を使う電子・情報系人間.塾講師とは違った立場で気楽に,主に中学入試の算数と大学入試の数学の問題を眺めていこうと思っています.

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