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apuさんの連分数に関する予想について

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apuさんのこちらのツイート https://twitter.com/apu_yokai2/status/1389800511960801284?s=19 で上げられていた予想を証明したのでここに記そうと思います。

(予想)
連分数$B$の末尾に数字を1つ追加した連分数を$A$とし、連分数$A$に対して、最後に追加した数字を2倍にして前半部を反転させて追加した連分数を$C$とすると、
$\displaystyle\frac{A+B}{2}=C$
が成り立つ。

これの証明をする前に証明で使う知識を書いておきます。

まず、$\displaystyle\left(\begin{array}{ccc}a&b\\c&d\end{array}\right)\left(\begin{array}{ccc}x\\y\end{array}\right)=\left(\begin{array}{ccc}ax+by\\cx+dy\end{array}\right)$という式を考えます。
この式において$x$成分と$y$成分の比$\displaystyle\frac{x}{y}$は行列$\left(\begin{array}{ccc}a&b\\c&d\end{array}\right)$によって$\displaystyle\frac{ax+by}{cx+dy}=\frac{a\frac{x}{y}+b}{c\frac{x}{y}+d}$に写されたと見ることができるので、$\displaystyle\left(\begin{array}{ccc}a&b\\c&d\end{array}\right)(x)=\frac{ax+b}{cx+d}$という行列による作用が定義でき、これは行列の積に関して結合則($A(B(x))=(AB)(x)$)が成り立ちます。

ここで、連分数は$\displaystyle f(x)=n+\frac{1}{x}=\frac{nx+1}{x}$という形の関数の合成を使って表されるので、連分数について考える代わりに行列の積について考えればいいことがわかります。

(定義)
$\displaystyle A=\left(\begin{array}{ccc}a&b\\c&d\end{array}\right) $に対し、$\displaystyle A(z):=\frac{az+b}{cz+d}$
$\displaystyle A(\infty):=\frac{a}{c}$
$\displaystyle F_x:=\left(\begin{array}{ccc}x&1\\1&0\end{array}\right)$
$\displaystyle A_n:=F_{a_1}F_{a_2}...F_{a_n}$
$\displaystyle B_n:=F_{a_n}F_{a_{n-1}}...F_{a_1}$
$\displaystyle \left(\begin{array}{ccc}P_n\\Q_n\end{array}\right):=A_n\left(\begin{array}{ccc}1\\0\end{array}\right)$

まず、連分数$[a_0;a_1,...,a_n]$$\displaystyle a_0+\frac{1}{A_n(\infty)}$で表されることを確認します。
$A_n$がどんな行列か調べていきましょう。
$P_n,Q_n$の定義より次のようにおくことができます。
$\displaystyle A_n=\left(\begin{array}{ccc}P_n&R_n\\Q_n&S_n\end{array}\right)$
ここで、$\displaystyle A_n=A_{n-1}\left(\begin{array}{ccc}a_n&1\\1&0\end{array}\right)$であるので、$R_n=P_{n-1},S_n=Q_{n-1}$がわかります。
よって、$\displaystyle A_n=\left(\begin{array}{ccc}P_n&P_{n-1}\\Q_n&Q_{n-1}\end{array}\right)$となることがわかりました。
次に、$B_n$について調べていきたいのですが、勘のいい読者なら調べるほどでもないことに気付いたかもしれません。
$F_x$が対称行列であることに着目します。
$\displaystyle{}^t(AB)={}^tB{}^tA$に当てはめると、$F_yF_x={}^t(F_xF_y)$であり、$B_n={}^tA_n$です。
よって、$\displaystyle B_n=\left(\begin{array}{ccc}P_n&Q_n\\P_{n-1}&Q_{n-1}\end{array}\right)$となります。

ここから本題に入ります。
$A$の連分数展開を$[a_0;a_1,...,a_n]$とします。
すると、$B$の連分数展開は$[a_0;a_1,...,a_{n-1}]$$C$の連分数展開は$[a_0;a_1,...,a_{n-1},2a_n,a_{n-1},...,a_1]$となります。
$\displaystyle A=a_0+\frac{1}{A_n(\infty)}=a_0+\frac{Q_n}{P_n}$
$\displaystyle B=a_0+\frac{1}{A_{n-1}(\infty)}=a_0+\frac{Q_{n-1}}{P_{n-1}}$
となって、あとは$C$を求めるだけですが、ここで少し工夫が要ります。
$C$の連分数展開を少し変形すると$[a_0;a_1,...,a_n,0,a_n,...,a_1]$となりますね。
これを使うと、
$C=\left(\begin{array}{ccc}a_0&1\\1&0\end{array}\right)A_n\left(\begin{array}{ccc}0&1\\1&0\end{array}\right)B_n(\infty) \\=\displaystyle\left(\begin{array}{ccc}a_0&1\\1&0\end{array}\right)\left(\begin{array}{ccc}P_n&P_{n-1}\\Q_n&Q_{n-1}\end{array}\right)\left(\begin{array}{ccc}0&1\\1&0\end{array}\right)\left(\begin{array}{ccc}P_n&Q_n\\P_{n-1}&Q_{n-1}\end{array}\right)(\infty) \\=\displaystyle a_0+\frac{P_nQ_{n-1}+P_{n-1}Q_n}{2P_nP_{n-1}}$
これより、$\displaystyle\frac{A+B}{2}=C$が成り立つことが確認できました。

投稿日:202156

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