(以下は3/9にnote.comにアップした記事です.)
さて、今日から京都大学入試の数学(理系)を取り上げたいと思います.最後の問題はですでに取り上げているので,全5回となります.
次の各問に答えよ.
問1 $xyz$ 空間の 3点 A$(1,0,0)$, B$(0,-1,0)$, C$(0,0,2)$ を通る平面 $\alpha$ に関して点 $(1,1,1)$ と対称な点 Q の座標を求めよ.ただし,点 Q が平面 $\alpha$ に関して対称であるとは,線分 PQ の中点 M が平面 $\alpha$ 上にあり,直線 PM が P から平面 $\alpha$ に下ろした垂線となることである.
問2 赤玉,白玉,青玉,黄玉が $14$個ずつ入った袋がある.よくかきまぜた後に袋から球を $1$個取り出し,その玉の色を記録してから袋に戻す.この試行を繰り返すとき,$n$ 回目の試行で初めて赤玉が取り出されて $4$種類全ての色が記録済みとなる確率を求めよ.
(注) 当日訂正が入ったようで,問2 は $n\geqq 4$ とします.
どちらも難しくはありません.サクサクと解きましょう.
まず 平面 $\alpha$ の方程式を求めると,3点 A, B, C は $\alpha$ の $x$切片, $y$切片, $z$切片なので,$\displaystyle \frac{x}{1}+\frac{y}{-1}+\frac{z}{2}=1$ すなわち $2x - 2y + z = 2$ となります.したがって,$\alpha$ の法線ベクトルは $(2, -2, 1)$ となります.
直線 PQ は 平面 $\alpha$ に垂直であるので,点 Q の座標 $(a, b, c)$ は 実数 $t$ を用いて $(a,b,c) = (1,1,1) + 2t(2,-2,1)$ とおくことができ,点 M の座標は $\displaystyle\left(\frac{a+1}{2}, \frac{b+1}{2}, \frac{c+1}{2}\right) = (1+2t, 1-2t, 1+t)$ と表されます。
点 M は平面 $\alpha$ 上の点であるので,$2(1+2t) - 2(1-2t) + (1+t) = 2$ すなわち $9t = 1$ すなわち $t = \displaystyle\frac{1}{9}$ となります.よって,点 Q の座標は $\displaystyle(1,1,1)+\frac{2}{9}(2,-2,1)=\left(\frac{13}{9}, \frac{5}{9}, \frac{11}{9}\right)$ となります.
$n-1$ 回目までの試行で赤玉以外の $3$種類の玉が全て出ている確率を求めることとほぼ同値となります: 実際には $n$回目の試行で赤玉が出る確率をかける必要がありますが.
したがって,$n-1$回目までの試行で赤玉以外の3種類の玉がすべて出る場合の数は $3^{n-1} - 3 \times (2^{n-1} - 2) - 3 \times 1 = 3^{n-1} - 3 × 2^{n-1} + 3$ となるので、求める確率は $\displaystyle\frac{3^{n-1} - 3 × 2^{n-1} + 3}{4^n}$ となります.
全く別分野の問題がごちゃ混ぜになっていますが,どちらも基本的な問題なので,他の問題を見ずに真っ先に解いていいですし,10~15分で完答したい問題です.
逆にそれくらいで解けないようでしたら京大を受ける資格はありません.
そのくらいガチの基本問題です.教科書レベルの演習問題と言ってもいい.逆に何かあるのではと疑いたくなるくらいに易しいです.
ひとつだけ,Q の座標を $(a,b,c) = (1,1,1) + 2t(2,-2,1)$ として,ベクトル $(2,-2,1)$ の係数を $t$ ではなく $2t$ としているのは,そのあとで中点 M を求めるときに式がきれいになるからです.
方向ベクトルを $t$ 倍しようが $2t$ 倍しようが構わない話で,この辺りの細かいことを知っていると式がきれいになって計算がしやすくなります.
それ以外は工夫らしい工夫も必要ありませんでした.