京都大学(理系)の4回目,曲線の長さを求める問題です.式変形が少々込み入った問題とはいえ,このくらいは普通だと思うのですが…
曲線 $y = \log (1 + \cos x)$ の $0 \leqq x \leqq \displaystyle\frac{\pi}{2}$ の部分の長さを求めよ.
求める曲線の長さを $L$ とおくと,
\begin{equation}
L=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{1+\left(\frac{dy}{dx}\right)^2}dx
\end{equation}
であるので,まずは $\displaystyle\frac{dy}{dx}$ を求めてみます.
\begin{equation}
\frac{dy}{dx}=\frac{-\sin x}{1+\cos x}
\end{equation}
$0\leqq x\leqq \displaystyle\frac{\pi}{2}$ のとき $\displaystyle\cos\frac{x}{2}>0$ であることから
\begin{align}
\sqrt{1+\left(\frac{dy}{dx}\right)^2}
&=\sqrt{1+\frac{(-\sin x)^2}{(1+\cos x)^2}}
=\sqrt{\frac{(1+\cos x)^2+\sin^2 x}{(1+\cos x)^2}}\\
&=\sqrt{\frac{2(1+\cos x)}{(1+\cos x)^2}}
=\sqrt{\frac{2}{1+\cos x}}\\
&=\sqrt{\frac{1}{\displaystyle\cos^2 \frac{x}{2}}}
=\frac{1}{\displaystyle\cos\frac{x}{2}}
=\frac{\displaystyle\cos\frac{x}{2}}{\displaystyle 1-\sin^2\frac{x}{2}}\\
&=\left(\frac{1}{\displaystyle 1-\sin\frac{x}{2}}+\frac{1}{\displaystyle 1+\sin\frac{x}{2}}\right)\times\frac{d}{dx}\left(\sin\frac{x}{2}\right)
\end{align}
となります.したがって,
\begin{align}
L
&=\left[-\ln\left|1-\sin\frac{x}{2}\right|+\ln\left|1+\sin\frac{x}{2}\right|\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\\
&=-\ln\left(1-\frac{1}{\sqrt{2}}\right)+\ln\left(1+\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\\
&=\ln\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1}\\
&=\ln(\sqrt{2}+1)^2\\
&=2\ln(\sqrt{2}+1)
\end{align}
が答えとなります.
答えとしては $2 \ln (\sqrt{2} + 1)$ の他に $\ln (3 + 2\sqrt{2})$ などが考えられますが,その辺は同じ値であれば何でもいいと思います.
($\displaystyle\sin \frac{\pi}{4} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ とした場合,後者の答えが出てきそうです.)
この問題も基本的な技術のみで解けます.しいて言えば根号の中の計算が面倒ですが,このくらいは苦なく処理してもらわないと困ります.
私が受験生の頃であればこの程度の問題は基本問題の範疇ですが,ここまでの 4問を見ると応用問題の位置づけなのでしょうか?だとするとガッカリです.
(おそらくコロナ対応ということなのでしょうけど…)