第4問は積分問題のふりをした整数問題です.積分のことはあまり意識しなくてけっこうです.
問題
整数 , , に関する次の条件 を考える.
整数 , , が および をみたすとき, は の倍数であることを示せ.
のとき, および をみたす整数の組 の個数を求めよ.
解答解説
深く考えずに積分計算をした方が幸せです.
(1) の解答
の両辺を計算すると,
となるので,左辺 右辺 を計算すると,
である. すなわち であることから, であるが, より である.
さて,この式から と変形でき,, , は整数であることから右辺は の倍数であるので, は の倍数でなければならない.したがって, も の倍数でなければならない.
そこで,ある整数 を用いて と表すと, すなわち であることから は の倍数でなければならないので, も の倍数でなければならない.
(2) の解答
から であるが, であるので, である.
さてここで, であるが,(1) から が の倍数であるとき も の倍数であるので, と をそれぞれ で割った余りは等しい.また, は の倍数であるので, と はともに の倍数である.
整数 , (ただし ) に対して , とおくと, より となり,, と整数解 が得られるので, すなわち となる整数の組 の個数を求めればよい.
かつ であることから, となるので, は の正の約数である.そのそれぞれに整数 が つ定まるので, となる整数の組 の個数は の正の約数の個数に等しい. より, の正の約数の個数は 個ある.よって,条件をみたす整数の組 の個数は 個である.
感想
この問題はあまりきれいに解こうと考えない方がいいです.素直に積分の計算をして,, , からなる方程式を出してみることです.考えるのはそれから.
実際に という方程式を出してみると, 以外の項は の倍数なので, と に関して何か条件が定まることが予想されます.そこで, の部分から か の形を無理やり作って残りの形を見たくなると思います.
上記の (1) はそのような考えに基づいて変形しております.あとは自然な議論で進めています.
後半である (2) は に具体的な値が代入されているので, の部分を積の形で表したいと考えて因数分解を行っています.これは整数問題の定石ともいえる手法です.
そのことさえ分かれば,あとは難しい議論ではないと思います.とはいえ,整数問題は昔から鬼門であり,(2) どころか (1) でつまずいた受験生も多かったかもしれません.