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有限長モジュラー束と透視関係について

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$$\newcommand{dotge}[0]{\dot\ge} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{i}[0]{\ \ \ \ \ \ } \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{ii}[0]{\i\i} \newcommand{iii}[0]{\i\i\i} \newcommand{im}[0]{\mathrm{Im}} \newcommand{ker}[0]{\mathrm{Ker}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{simeqord}[0]{\simeq_{\mathrm{Ord}}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

自分用のノート
ACCについて: https://mathlog.info/articles/PeSr2Lte3hK3nF9hVlgF

長さ

半順序集合において、全ての鎖の濃度が有限であることはACCとDCCを満たすことと同値である。
この時、だからと言って鎖の濃度の有限な上界が存在するとは言えない。
例えば濃度$n$の鎖$C_n$の無限非交和$\coprod_{n \in \N}C_n$を考えると、鎖の濃度の有限な上界は存在しない。

束についても言えて、上の例に最小元と最大元を添加するとこれは束になり、全ての鎖の濃度は有限であるが鎖の濃度の有限な上界は存在しない。

半順序集合$P$において、鎖の濃度に有限な上限が存在するならば、それを$P$長さという。
存在しない場合、長さ無限であるという。

全ての鎖の濃度が有限のとき、どうすれば長さ有限になるのだろうか?

ちなみに半順序集合$P$において、$P$の反鎖(どの二元も順序関係を持たない部分集合)の濃度に有限な上限が存在するならば、それを$P$という。
存在しない場合、幅無限であるという。

Mirskyの定理とDilworthの定理について調べてみるとよい。

有限長モジュラー束と透視関係

ACCとDCCを満たすモジュラー束を有限長モジュラー束という。

(有限長モジュラー束 ⇔ ACCとDCCを満たすモジュラー束 ⇔ 有限極大鎖を持つモジュラー束)

この時点で有限長モジュラー束と長さ有限なモジュラー束が同値であるかは分からないが、同値になるのでこの名前で呼ぶ。

有限次元ベクトル空間$V$の部分空間全体の為す束$(K(V),\subset)$は有限長モジュラー束である。(上限は$+$、下限は$\cap$で与えられる)

有限長モジュラー束は最大元と最小元を持つ。

有限長モジュラー束は有限極大鎖を持つ。
有界極大鎖を持つ束は有界である。

有限長モジュラー束$L$に対し、$L$の任意の区間は有限長モジュラー束である。

特に$a \in L$に対し$↑^La$$↓^La$は有限長モジュラー束である。

ACCとDCCは部分順序集合へ遺伝する。
モジュラー性は部分束へ遺伝する。
任意の区間は部分束である。

透視関係 (perspective relation)

モジュラー束$L$に対し、$L \times L$上の二項関係を以下で定める。
$(a,b) \sim (c,d) :⇔ b \vee c = d$かつ$b \wedge c = a$

$\sim$は反射律は満たすが、対象律と推移律を満たさない。
そこで、$\sim$を含む最小の同値関係を$\sim^*$とする。

$\sim^*$を透視関係と呼ぶ。(この翻訳あってるんですかね?)

$(a,b)\sim'(c,d) :⇔ (a,b)\sim(c,d)$または$(c,d)\sim(a,b)$と定めると、$\sim'$は対称律を満たし、
$\sim^*$は「有限個の$\sim'$を乗り継いで関係を持つ」という関係になっている。

二項関係について: https://mathlog.info/articles/9V0pOHnGtSzJ5hN67TXT

ダイヤモンド補題

モジュラー束$L$$a,b \in L$に対し、

$(a \wedge b, a) \sim (b, a \vee b)$

$$ \xymatrix{ & a \vee b \ar@{-}@[red][ld] \ar@{-}[rd] & \\ a \ar@{-}[rd] & & b \ar@{-}@[red][ld] \\ & a \wedge b & } $$

定義をよく見る。

この関係を成り立たせる最小の同値関係を$\sim^*$と言っている。

ダイヤモンド同型定理 (Dedekindの転置法則)

モジュラー束$L$$a,b \in L$に対し、

$\phi: [a \wedge b, b] → [a,a \vee b];\ x ↦ x \vee a$
$\psi: [a,a \vee b] → [a \wedge b, b];\ y ↦ y \wedge b$
と定めると、これらは互いに逆であり、順序を保つ。

即ち、$[a \wedge b, b] \simeqord [a,a \vee b]$が成り立つ。

$$ \xymatrix{ & a \vee b \ar@{-}@[red][ld] \ar@{-}[rd] & \\ a \ar@{-}[rd] & & b \ar@{-}@[red][ld] \\ & a \wedge b & } $$

[$\phi$$\psi$はwell-defined]
$x \in [a \wedge b, b]$を取る。
$a \le x \vee a$である。
$x \le b$だから、$x \vee a \le a \vee b$
よって、$\phi(x) \in [a,a \vee b]$

$y \in [a,a \vee b]$を取る。
$y \wedge b \le b$である。
$a \le y$だから、$ a \wedge b \le y \wedge b$
よって、$\psi(y) \in [a \wedge b, b]$

[$\phi$$\psi$は順序を保つ]
明らか。

[$\psi \circ \phi = \id_{[a \wedge b, b]}$]
$x \in [a \wedge b, b]$を取る。
$x \le b$だから、モジュラー律より、
$\psi(\phi(x)) = (x \vee a) \wedge b = x \vee (a \wedge b)$
また、$a \wedge b \le x$だから、
$\psi(\phi(x)) = x$

[$\phi \circ \psi = \id_{[a,a \vee b]}$]
$y \in [a, a \vee b]$を取る。
$a \le y$だから、モジュラー律より、
$\phi(\psi(y)) = (y \wedge b) \vee a = y \wedge (b \vee a)$
また、$y \le a \vee b$だから、
$\phi(\psi(y)) = y$

$(a,b) \sim (c,d) ⇒ [a,b]\simeqord[c,d]$

$(a,b) \sim (c,d) ⇒ (a,b) \sim^* (c,d)$

[$(a,b) \sim (c,d) ⇒ [a,b]\simeqord[c,d]$]

ダイヤモンド同型定理より、
$[b \wedge c, b] \simeqord [c, b \vee c]$

この時、$(a,b) \sim(c,d)$とすると、$b \vee c = d$かつ$b \wedge c = a$だから、
$[a,b] \simeqord [c,d]$

[$(a,b) \sim (c,d) ⇒ (a,b) \sim^* (c,d)$]
明らか。

Zassenhausの蝶の補題

Zassenhausの蝶の補題 (束論)

モジュラー束$L$と、$a \ge a', b \ge b'$を満たす$a,a',b,b' \in L$に対し、以下が成り立つ。

$(a' \vee (a \wedge b'),\ a' \vee (a \wedge b)) \sim^* ((a' \wedge b) \vee (a \wedge b'),a \wedge b) \sim^* (b' \vee (a' \wedge b),\ b' \vee (a \wedge b))$

$$ \xymatrix{ a \ar@{-}[rd] & & & & b \ar@{-}[ld] \\ & a' \vee (a \wedge b) \ar@{-}@[red][d] \ar@{-}[rd] & & b' \vee (a \wedge b) \ar@{-}@[red][d] \ar@{-}[ld] & \\ & a' \vee (a \wedge b') \ar@{-}[ld] \ar@{-}[rd] & a \wedge b \ar@{-}@[red][d] & b' \vee (a' \wedge b) \ar@{-}[rd] \ar@{-}[ld] & \\ a' & & (a' \wedge b) \vee (a \wedge b') & & b' }$$

蝶。。。かなあ?

$c = (a' \wedge b) \vee (a \wedge b')$
$d = a \wedge b$
$x_1 = a' \vee (a \wedge b')$
$y_1 = a' \vee (a \wedge b)$
$x_2 = b' \vee (a' \wedge b)$
$y_2 = b' \vee (a \wedge b)$
と置く。

[$(c,d) \sim (x_1,y_1)$]
$\i$[$d \vee x_1 = y_1$]
$\ii$$d \vee x_1 = (a \wedge b) \vee a' \vee (a \wedge b')$

$\iii$(ここで$b' \le b$より$a \wedge b' \le a \wedge b$であるため$(a \wedge b) \vee (a \wedge b') = a \wedge b$となる)

$\ii$$= (a \wedge b) \vee a'$
$\ii$$=y_1$

$\i$[$d \wedge x_1 = c$]
$\ii$$d \wedge x_1 = a \wedge b \wedge (a' \vee (a \wedge b'))$

$\iii$($a' \le a$ および $a \wedge b' \le a$ だから、$a' \vee (a \wedge b') \le a$ となる。
$\iii$従って、$a$ との交わりを取る操作は無視できる)

$\ii$$= b \wedge (a' \vee (a \wedge b'))$

$\iii$(モジュラー律を利用する。$a \wedge b' \le b' \le b$ であるから)

$\ii$$= (b \wedge a') \vee (a \wedge b')$
$\ii$$ = c$

$\i$従って、$(c,d) \sim (x_1,y_1)$

同様に、$(c,d) \sim (x_2,y_2)$

従って、$(x_1,y_1) \sim^* (x_2,y_2)$

Schreierの細分定理

モジュラー束$L$の端点を共有する同じ長さの2つの列
$$C:a = x_0 \le x_1 \le x_2 \le \cdots \le x_{n-1} \le x_n = b$$
$$D:a = y_0 \le y_1 \le y_2 \le \cdots \le y_{n-1} \le y_n = b$$
透視同型であるとは、以下を満たすことを言う。

ある置換$\sigma \in \mathfrak{S}_{n-1}$が存在して、全ての$0 \le i \le n-1$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^* (y_{\sigma(i)},y_{\sigma(i)+1})$

この時、$C \simeq^* D$と書くことにする。

$\simeq^*$$L$の有限増加列全体上の同値関係である。

[反射律]
$C:a = x_0 \le x_1 \le x_2 \le \cdots \le x_{n-1} \le x_n = b$を取る。

$\sigma$を恒等写像とすればよい。

[推移律]
$C \simeq^* D$かつ$D \simeq^* E$なる列$C,D,E$を取る。

$$C:a = x_0 \le x_1 \le x_2 \le \cdots \le x_{n-1} \le x_n = b$$
$$D:a = y_0 \le y_1 \le y_2 \le \cdots \le y_{n-1} \le y_n = b$$
$$E:a = z_0 \le z_1 \le z_2 \le \cdots \le z_{n-1} \le z_n = b$$

$C \simeq ^* D$$D \simeq^* E$に関する置換を$\sigma_{C},\sigma_{D}$と置く。

この時、任意の$0 < i < n-1$に対し、
$(x_i,x_{i+1}) \sim^* (y_{\sigma_C(i)},y_{\sigma_C(i)+1}) \sim^* (z_{\sigma_D\sigma_C(i)},z_{\sigma_D\sigma_C(i)+1})$
であるから、$\sigma = \sigma_D \circ \sigma_C$と置けばよい。

[対称律]
$C \simeq^* D$なる列$C,D$を取る。

$$C:a = x_0 \le x_1 < x_2 \le \cdots \le x_{n-1} \le x_n = b$$
$$D:a = y_0 \le y_1 < y_2 \le \cdots \le y_{n-1} \le y_n = b$$

$C \simeq ^* D$に関する置換を$\sigma_{C}$と置く。

この時、任意の$0 \le i \le n-1$に対し、
$(y_{i},y_{i+1}) \sim^* (x_{\sigma_C^{-1}(i)},x_{\sigma_C^{-1}(i)+1})$
であるから、$\sigma = \sigma_C^{-1}$と置けばよい。

$a = x_0 \le \cdots \le x_n = b$の細分とは、端点は固定し、間にいくつか元を追加したもののこと。

例えば$\N$において$2,3,4,5,5,6,7$$2,3,5,7$の細分である。

Schreierの細分定理 (束論)

モジュラー束$L$の端点を共有する任意の2つの有限増加列に対し、それぞれある細分が存在して、それら細分同士は透視同型になる。

$L$の列を取る。
$$C:a = x_0 \le x_1 \le x_2 \le \cdots \le x_{m-1} \le x_m = b$$
$$D:a = y_0 \le y_1 \le y_2 \le \cdots \le y_{n-1} \le y_n = b$$

$i = 1,\cdots,m,\ j = 0,\cdots,n$に対し、$x_{i,j} = x_{i-1} \vee (x_i \wedge y_j)$
$j = 1,\cdots,n,\ i = 0,\cdots,m$に対し、$y_{j,i} = y_{j-1} \vee (y_j \wedge x_i)$
と置く。

この時、
$x_{i,0} = x_{i-1} \vee (x_i \wedge a) = x_{i-1}$
$x_{i,n} = x_{i-1} \vee (x_i \wedge b) = x_{i}$
$y_{j,0} = y_{j-1} \vee (y_j \wedge a) = y_{i-1}$
$y_{j,m} = y_{j-1} \vee (y_j \wedge b) = y_{j}$
である。

$C':a=x_{1,0} \le x_{1,1} \le \cdots \le x_{1,n} = x_{2,0} \le x_{2,1} \le \cdots \le x_{m,n} = b$
$D':a=y_{1,0} \le y_{1,1} \le \cdots \le y_{1,m} = y_{2,0} \le y_{2,1} \le \cdots \le y_{n,m} = b$
と定めると、これはどちらも長さ$mn$の列(重複含む)であり、それぞれ$C,D$の細分である。

ここで、隣り合う要素の組に注目する。
$(x_{i,j},\ x_{i,j+1}) = (x_{i-1} \vee (x_i \wedge y_j),\ x_{i-1} \vee (x_i \wedge y_{j+1}))$
$(y_{j,i},\ y_{j,i+1}) = (y_{j-1} \vee (y_j \wedge x_i),\ y_{j-1} \vee (y_j \wedge x_{i+1}))$

$x_{i,j} \le x_{i,+1}$かつ$y_{j,i} \le y_{j,i+1}$であるから、Zassenhausの蝶の補題より、
$(x_{i,j},\ x_{i,j+1}) \sim^* (y_{j,i},\ y_{j,i+1})$

従って、$(i,j)+1=(i,j+1)$として後者を定義すれば、
$\sigma \in \mathfrak{S}_{mn}$として添え字$(i,j)$$(j,i)$に送る置換を取れば、
全ての$(i,j)$に対し、$(x_{i,j},\ x_{i,j+1}) \sim^* (y_{\sigma(i,j)},\ y_{\sigma(i,j)+1})$

即ち、$C' \simeq^* D'$

Jordan-Hölderの定理

Jordan-Hölderの鎖条件

半順序集合$P$に対し、その全ての極大鎖の濃度が等しいとき、$P$はJordan-Hölderの鎖条件(JHCC)を満たすという。

Jordan-Hölderの定理 (束論)

有限長モジュラー束$L$の全ての極大鎖は有限で、それら有限極大鎖は透視同型である。

特に、全ての極大鎖の濃度が等しいから、$L$はJHCCを満たす。

有限長モジュラー束$L$の全ての極大鎖は有限である。

2つの極大鎖
$$C:0 = x_0 \prec x_1 \prec x_2 \prec \cdots \prec x_{m-1} \prec x_m = 1$$
$$D:0 = y_0 \prec y_1 \prec y_2 \prec \cdots \prec y_{n-1} \prec y_n = 1$$
を取る。

Schreierの細分定理より、$C,D$はそれぞれある細分$C',D'$が存在して、それら細分同士は透視同型になる。

ここで、$C,D$は極大鎖であるから、$C',D'$の隣り合う元の組はもともとあった$x_i \prec x_{i+1}$か自明な$x_i=x_i$のみである。

$(x,x') \sim^* (y,y')$となるとき、$[x,x'] \simeqord [y,y']$であるから、$x=x' ⇔ y = y'$

従って、$C'$$D'$の非自明な区間の個数は一致し、それはもともとの$C$$D$の区間の個数である。
また、この時、$C'$$D'$の非自明な区間はある置換があって$\sim^*$で結ばれているから、$C$$D$は透視同型である。

(1)

[旧証明(Schreierを使わない)]

モジュラー束であるから、有限極大鎖を一つでも持てば、ACCとDCCを満たし、ゆえに全ての鎖は有限である。

「モジュラー束が濃度$n$の有限極大鎖を持てば、全ての有限極大鎖の長さは$n$である」を全ての$n \in \mathbb{N}$について示す。
$n$に関する帰納法で示す。

[$n=0$の時]
濃度$0$の有限極大鎖を持つモジュラー束$L$を取る。
$L$は空集合であり、全ての有限極大鎖は空である。

[$n=1$の時]
濃度1の有限極大鎖を持つモジュラー束$L$を取る。
$L$は束であるから、一点集合であり、全ての有限極大鎖は一点集合である。

[$n< k$で成り立つ⇒$n=k$で成り立つ]
$n< k$で成り立つとする。

濃度$k$の有限極大鎖を持つモジュラー束$L$を取る。

$L$の有限極大鎖を2つ取り、
$C:0 = x_0 \prec x_1 \prec \cdots \prec x_{k-2} \prec x_{k-1} = 1$
$D:0 = y_0 \prec y_1 \prec \cdots \prec y_{m-2} \prec y_{m-1} = 1$
と表す。

$k=m$を示す。

[$x_{k-2} = y_{m-2}$の場合]
$[0,x_{k-2}] = [0,y_{m-2}]$である。
$0 = x_0 \prec x_1 \prec \cdots \prec x_{k-2}$$[0,x_{k-2}]$の有限極大鎖であり、
$0 = y_0 \prec y_1 \prec \cdots \prec y_{m-2}$$[0,y_{m-2}]$の有限極大鎖である。
よって、帰納法の仮定より、$k-1 = m-1$だから、$k=m$

[$x_{k-2} \not= y_{m-2}$の場合]
$x_{k-2} \prec 1$かつ$y_{m-2} \prec 1$より、$x_{k-2} \vee y_{m-2} = 1$

$z = x_{k-2} \wedge y_{m-2}$と置くとダイヤモンド同型定理より、
$[x_{k-2} \wedge y_{m-2},y_{m-2}] \simeqord [x_{k-2}, x_{k-2} \vee y_{m-2}]$
即ち、$[z,y_{m-2}] \simeqord [x_{k-2}, 1] = \{x_{k-2},1\}$
よって、$z \prec y_{m-2}$
また、$[x_{k-2} \wedge y_{m-2},x_{k-2}] \simeqord [y_{m-2}, x_{k-2} \vee y_{m-2}]$でもあるから、
$z \prec x_{k-2}$


$$ \xymatrix{ & 1 & \\ x_{k-2} \ar@/_1pc/@{-}[rddd] \ar@{-}[ru] & & y_{m-2} \ar@/^1pc/@{-}[lddd] \ar@{-}[lu] \\ & z \ar@{-}[lu] \ar@{-}[ru] \ar@{-}[dd] & \\ & & \\ & 0 & } $$

$[0,z]$も有限長モジュラー束であるから、有限極大鎖$E$を持つ。

$E\cup\{x_{k-2}\}$$[0,x_{k-2}]$の有限極大鎖だから、帰納法の仮定より、その濃度は$k-1$
従って、$E$の濃度は$k-2$

一方、$E\cup\{y_{m-2}\}$の濃度は$k-1$であり、帰納法の仮定から、$[0,y_{m-2}]$の有限極大鎖の濃度は$k-1$

ゆえに、$m=k$
***
従って、数学的帰納法より、任意の$n \in \mathbb{N}$に対し、モジュラー束が濃度$n$の有限極大鎖を持てば、全ての極大鎖の濃度は$n$である。

(2)

[旧証明(Schreierを使わない)]
「濃度$n$の有限極大鎖をもつモジュラー束に対してそのような置換が存在する」を全ての$n \in \mathbb{N}$に対して示す。
$n$に関する帰納法で示す。

[$n=0$の時]
濃度$0$の有限極大鎖をもつモジュラー束$P$を取る。
$P$は空である。空写像$\sigma \in \mathfrak{S}_0$が条件を満たす。

[$n=1$の時]
濃度$1$の有限極大鎖をもつモジュラー束$P$を取る。
$P$は一点集合である。恒等写像$e \in \mathfrak{S}_1$が条件を満たす。

[$n=2$の時]
濃度$2$の有限極大鎖をもつモジュラー束$P$を取る。
$P$は二点集合である。恒等写像$e \in \mathfrak{S}_2$が条件を満たす。

[$n=3$の時]
濃度$3$の有限極大鎖をもつモジュラー束$P$を取る。
2つの有限極大鎖を取る。
$0 \prec x \prec 1$
$0 \prec y \prec 1$

[$x=y$の時]
恒等写像$e \in \mathfrak{S}_3$を取ればよい。

[$x\not=y$の時]
ダイヤモンド補題より
$(0,x) \sim^*(y,1)$
$(0,y) \sim^*(x,1)$

$\sigma$として、$1$$2$を入れ替える置換を取ればよい。

[$n< k$で成り立つ ⇒ $n = k$で成り立つ]
$n< k$で成り立つとする。

濃度$k$の有限極大鎖をもつモジュラー束$P$を取る。

$P$の有限極大鎖を2つ取り、
$C:0 = x_0 \prec x_1 \prec \cdots \prec x_{k-2} \prec x_{k-1} = 1$
$D:0 = y_0 \prec y_1 \prec \cdots \prec y_{k-2} \prec y_{k-1} = 1$
と表す。

[$x_{k-2} = y_{k-2}$の場合]
$[0,x_{k-2}] = [0,y_{k-2}]$である。
$0 = x_0 \prec x_1 \prec \cdots \prec x_{k-2}$$[0,x_{k-2}]$の有限極大鎖であり、
$0 = y_0 \prec y_1 \prec \cdots \prec y_{k-2}$$[0,y_{k-2}]$の有限極大鎖である。

よって、帰納法の仮定より、ある$\tau \in \mathfrak{S}_{k-2}$が存在して、全ての$0 \le i \le k-3$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^*(y_{\tau(i)},y_{\tau(i)+1})$

$(x_{k-2},1)=(y_{k-2},1)$だから、反射律より、$(x_{k-2},1)\sim^*(y_{k-2},1)$

よって、
$\sigma(i)= \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \tau(i)\ (0 \le i \le k-3) \\ k-2 \ (i = k-2) \end{array} \right. \end{eqnarray} $
と定めると、全ての$0 \le i \le k-2$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^*(y_{\sigma(i)},y_{\sigma(i)+1})$

[$x_{k-2} \not= y_{k-2}$の場合]
$x_{k-2} \prec 1$かつ$y_{k-2} \prec 1$より、$x_{k-2} \vee y_{k-2} = 1$
$z = x_{k-2} \wedge y_{k-2}$と置くと、ダイヤモンド補題より、
$(z,x_{k-2}) \sim^*(y_{k-2},1)$
$(z,y_{k-2}) \sim^*(x_{k-2},1)$

$[0,z]$の有限極大鎖を一つ取り、$E$とする。
$E:0 = z_0 \prec z_1 \prec \cdots \prec z_{k-3} = z$

$$ \xymatrix{ & 1 & \\ x_{k-2} \ar@/_1pc/@{-}[rddd] \ar@{-}[ru] & & y_{k-2} \ar@/^1pc/@{-}[lddd] \ar@{-}[lu] \\ & z_{k-3} \ar@{-}[lu] \ar@{-}[ru] \ar@{-}[dd] & \\ & & \\ & 0 & } $$

$C':0 = c_0 = z_0 \prec c_1 = z_1 \prec \cdots \prec c_{k-3} = z_{k-3} \prec c_{k-2} = x_{k-2} \prec c_{k-1} = 1$
$D':0 = d_0 = z_0 \prec d_1 = z_1 \prec \cdots \prec d_{k-3} = z_{k-3} \prec d_{k-2} = y_{k-2} \prec c_{k-1} = 1$
と置く。

[$C$$C'$の比較]
$C$$C'$は共に$[0,x_{k-2}]$の極大鎖に$1$を付け加えたもの。

$x_{k-2}$以下の部分を見ると、それぞれ濃度$k-1$の極大鎖であるから、帰納法の仮定より、ある置換$\tau$があって、任意の$0 \le i \le k-3$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^* (c_{\tau(i)},c_{\tau(i)+1})$

$[x_{k-2},1]$の部分は共有しているから、$\tau$$k-2$$k-2$に送るという条件を付け加えたものを$\sigma_C$とすれば、任意の$0 \le i \le k-2$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^* (c_{\sigma_C(i)},c_{\sigma_C(i)+1})$

[$D$$D'$の比較]
同様に、ある$\sigma_D$があって、任意の$0 \le i \le k-2$に対し、$(d_i,d_{i+1}) \sim^* (y_{\sigma_D(i)},y_{\sigma_D(i)+1})$

[$C'$$D'$の比較]
$z$以下の部分は共有している。

$C'$の上部:$(z,x_{k-2}),(x_{k-2},1)$
$D'$の上部:$(z,y_{k-2}),(y_{k-2},1)$
を見ると、さっき言ったように
$(z,x_{k-2}) \sim^* (y_{k-2},1)$
$(z,y_{k-2}) \sim^* (x_{k-2},1)$
だから、
$k-4$以下は恒等で、$k-3$$k-2$を入れ替える置換を$\sigma_E$とすれば、任意の$0 \le i \le k-2$に対し、$(c_i,c_{i+1}) \sim^* (d_{\sigma_E(i)},d_{\sigma_E(i)+1})$


[比較終了]
よって、$\sigma = \sigma_D \circ \sigma_E \circ \sigma_C$と置けば、任意の$0 \le i \le k-2$に対し、$(x_i,x_{i+1}) \sim^* (c_{\sigma_C(i)},c_{\sigma_C(i)+1}) \sim^* (d_{\sigma_E\sigma_C(i)},d_{\sigma_E\sigma_C(i)+1}) \sim^* (y_{\sigma_D\sigma_E\sigma_C(i)},y_{\sigma_D\sigma_E\sigma_C(i)+1})$

***
従って、数学的帰納法より、任意の$n \in \mathbb{N}$に対し、条件を満たす置換が存在する。

半順序集合$P$に対し、$P$の任意の区間がJHCCを満たすとき、$P$はJordan-Dedekindの鎖条件(JDCC)を満たすという。

有限長モジュラー束は、JDCCをも満たす。
なぜなら、有限長モジュラー束の区間もまた有限長モジュラー束であるから。

有限長モジュラー束 ⇔ 長さ有限なモジュラー束

[⇒]
Jordan-Hölderより。

[⇐]
全ての鎖が有限であるからACCとDCCを満たす。

階数(ランク)

有限長モジュラー束$L$は有限極大鎖を持ち、全ての極大鎖の濃度は等しい。

$L$の極大鎖の濃度を$n$として、$L$高さ$\rho(L)=n-1$と定義する。

有限長モジュラー束$L$$a \in L$に対し、

$\rho(L) = \rho(↑^La)+\rho(↓^La)$

$↑^La$の極大鎖$C$$↓^La$の極大鎖$D$を取る。
$C \cap D = \{a\}$である。
従って、$n=|C|, m=|D|$とすると、$|C \cup D| = n+m-1$

そして、$C \cup D$$L$の極大鎖である。
よって、$\rho(L) = n+m-2 = \rho(↑^La)+\rho(↓^La)$

有限長モジュラー束$L$$a \in L$に対し、$\rank(a) := \rho(↓^La)$と定める。

$\rank(1) = \rho(L)$
$\rank(0) = \rho(\{0\}) = 0$

有限長モジュラー束$L$$a,b \in L$に対し、

$\rank(a \vee b) + \rank(a \wedge b) = \rank(a) + \rank(b)$

[$a\le b$の場合]
$\rank(a \vee b) + \rank(a \wedge b) = \rank(b) + \rank(a)$

[$a \ge b$の場合]
$\rank(a \vee b) + \rank(a \wedge b) = \rank(a) + \rank(b)$

[$a$$b$が比較不能の場合]
$$ \xymatrix{ & a \vee b & \\ a \ar@{-}[ru]|-{d} & & b \ar@{-}[lu]|-{c} \\ & a \wedge b \ar@{-}[lu]|-{c} \ar@{-}[ru]|-{d} \ar@{-}[dd]|-{n} & \\ & & \\ & 0 & } $$

$n = \rank(a \wedge b)$
$c = \rho([a \wedge b, a])$
$d = \rho([a, a \vee b])$
と置く。

ダイヤモンド同型定理より、
$\rho([b, a \vee b]) = c$
$\rho([a \wedge b, b]) = d$

従って、
$\rank(a) = n+c$
$\rank(b) = n+d$
$\rank(a \vee b) = n+c+d$

ゆえに、
$\rank(a \vee b) + \rank(a \wedge b) = \rank(a) + \rank(b)$

$a \in L$に対し、$1 = a\vee b$かつ$0 = a \wedge b$となる$b \in L$$a$補元という。$b$$a$の補元の時、$a$$b$の補元である。
$a,b$が互いに補元の時、$\rank(1) = \rank(a) + \rank(b)$

有限次元ベクトル空間$V$の部分空間全体の為す束$K(V)$において、$\rank$$\dim$で与えられる。

$W_0,W_1 \le V$に対し、$\dim(W_0+W_1) + \dim(W_0 \cap W_1) = \dim(W_0) + \dim(W_1)$

$W_0$$W_1$が補空間の時、$\dim(V) = \dim(W_0)+\dim(W_1)$

投稿日:29日前
更新日:9日前
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