太郎さんと花子さんは期末試験に向けて教室で数学の勉強をしています.ちょうど次の問題について話しているところのようです.
実数
を解け.
太郎「これって簡単じゃない?答えすぐ見つけられるもん」
花子「どういうこと?」
太郎「
花子「確かに.よく気づいたね」
太郎「いや,それだけじゃなくて
花子「もしかしてこれで終わりのつもり?」
太郎「うん」
花子「これじゃ満点はこないよ」
太郎「どうして?」
花子「先生に言われたじゃん,方程式を解けって書いてあったら解となるもの全て求めなきゃダメだって」
太郎「知ってるよ,だから全部書いた」
花子「太郎が勝手に全部だと思ってるだけでしょ」
太郎「そうだけど多分これ以外ないもの」
花子「多分じゃなくて数学なんだからしっかり示さないと.現に
太郎「なら花子だったらどうするの?」
花子「私なら太郎の観察は脇に置いて,こうする」
ここで
いずれの解も分母を
太郎「うーん,なるほど.確かにこれなら問題ないね」
花子「ちょっと納得いってない感じ?」
太郎「いや,花子の答案は正しいとは思うよ」
??「二人とも熱心だね」
花子「先生!」
先生「教室の前を通りかかったら話し声が聞こえてきてね.それぞれの答案を見せてもらえるかな.……ふむふむ,花子さんのは
太郎「やっぱり?」
先生「うん.確かに花子さんの指摘は全く正しくて,解を列挙するだけでは厳密さに欠けるね.でも,せっかくのアイデアを生かさないのはもったいない気がしてくる.そこで,こういうのはどうだろう」
与えられた方程式が
と書けることをふまえれば,
また,この方程式は
と書けるから,実数係数
以上から解は
先生「花子さんの答案のように機械的に処理できる万能な解法も重要だけど,今回の問題でそれを選択するのは理論によって束縛されている印象を少し受ける.発見的解法など,自由な振る舞いを保証するために理論を使うこともできることを知ってもらいたいんだ.きっと広がりのある学習につながるはずだよ」
注) 本記事は,日頃から漠然と思っていたことを以下の動画によって強くインスパイアされ実現したものです.筆者自身も高校生の時はやや花子さんタイプの人間でした.その反省も込めたつもりです.
ヨビノリたくみ入試解説 2020一橋極限
#181 難関大学入試問題解説 2013佐賀大学入試 数Ⅰ 連立方程式
では,
注)
であって,左から順に