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Fourier変換の微分作用素表示(Hermite関数基底)

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今日はフーリエ変換を微分作用素で表示するという一番好きな定理を紹介する。

沢山の流儀の中でフーリエ変換作用素F

F g(x):=12πg(t)eixtdt

で定義する。

定理1  Fourier Tranceform&differential operator

F=exp(iπ4(ddxx)(ddx+x))

定理2

exp(iπxddx)=exp(iπ2(ddxx)(ddx+x))

定理3

eiπ(d2dx2x2)=1

Eulerの等式に引けを取らない美しい等式でめっちゃ好きです!

 

参考文献は「数学の現在 π 」の第1講小林俊之さんのところです。
この本は数学の諸分野を東大の教授が紹介する感じで、情報多くて面白いです!

今回の定理の主張自体が他の文献やネットに無いので、自力で証明を発見したのでそれを自分のblogに載せたものを今回持ってきた。

 

色々定義。

D=ddx

A=xD

h0(x)=ex22

nN0,hn+1(x)=Ahn(x)

 

フーリエ変換作用素を作用させても

関数が定数倍しか変化しない固有関数について考えてみると、

Gauss積分からFh0(x)=h0(x)である事が導かれる。

詳しくやると、割と有名な極座標への変換のメソッドで

 

(ex2)2

=ex2y2dxdy

=02π0rer2drdθ

=π0rer2dr

=π0esds

=π

 

なので

 

Fh0(x)

=12πexp(12t2+ixt)dt

=12πe12x2e12(tix)2dt

=1πe12x2et2dt

=e12x2=h0(x)

 

という風に示される。

 

更に任意の整数kについて

Fhk(x)=(i)khk(x)

 が成り立つ。これを示す為に、

AFの関係を調べる

任意の可積分(絶対値のR上の積分値が有限な)関数gについて 

 

FAg(x)

=F(xg(x)g(x))

=12π(eixt(tg(t)g(t))dt)

=12π(iddxeixtg(t)dt[eixtg(t)]ixeixtg(t)dt)

=i(xddx)×12πeixtg(t)dt

=iAFg(x)

 

つまり作用素の合成として

 

FA=iAF

 

なる関係が成り立つ。よって任意の正整数nについて

 

Fhn(x)

=FAnh0(x)

=iAFAn1h0(x)

=(i)nAnFh0(x)

=(i)nAnh0(x)

(i)nhn(x)

故にFhn(x)=(i)nhn(x)

 

hnはフーリエ変換の固有関数と分かった

定義式から任意の自然数nについて

e12x2hn(x)はn次多項式と分かる。

なので複素平面上でテイラー展開可能である任意の関数は{hn}n=0を基底としたC線形空間の元であるから、

 {hn}n=0に対して作用した結果が等しいなら

基底の構造から、定理1を示せる。

hnAh0(x)から作られるので

Ah0(x)に対する作用の結果が等しいなら、

任意の関数に対して作用した結果が等しく作用素としての等号が成り立つ。

 

それでは後半。

 

DxxD=1

 

という公式を使う。

 

作用素ABに対し

交換子括弧

ad(A)B=[A,B] =ABBA

随伴作用

Ad(A)B=ABA1

と定義するとLie群とLie環の関係を考えると

任意のλCAに対し

exp(λad(A))=Ad(exp(λA))

となる。双線型と反交換性を持つ作用素なので

[D,x]=1を用いると、

[A(D+x),A]

=A[D+x,A]

=A[D,x][x,D])

=2A

となることがわかるので、

 

A=A(D+x)λ=iπ4を代入してAに作用させると

Ad(exp(iπ4A(D+x)))A

=exp(iπ4ad(A(D+x)))A

=n=01n!(iπ4)nad(A(D+x))nA

=A+n=11n!(iπ4)n1×(iπ2)ad(A(D+x))n1A

=

=n=01n!(iπ2)nA

=iA

 

よって

 

exp(iπ4A(D+x))A=iAexp(iπ4A(D+x))

 

となる。また、

 

(D+x)h0(x)

=xe12x2+xe12x2

=0

 

なので

 

exp(iπ4A(D+x))h0(x)

=h0(x)+n=1(iπ4)n(A(D+x))nh0(x)

=h0(x)

 

よってAh0(x)に対して作用した結果が等しい事が分かった。

これで先程言ったように任意のhnについて作用の結果が等しく、任意の関数について作用の結果が等しいので作用素の等号が成り立つ

これで定理1は証明完了である。

 

F=exp(iπ4(Dx)(D+x))

 

ところでフーリエ変換の作用には周期性がある事が知られている。すなわち

F4f(x)=f(x) 

が成立する。

 

計算してみると、nが偶数、奇数なら

それぞれhnは偶関数、奇関数である事が分かる。

任意の関数gに対し複素数列{ck}k=0があって

g(x)=n=0cnhn(x)

と書けるのでこれを使って

 

F2g(x)

=n=0cnF2hn(x)

=n=0cn(1)nhn(x)

=n=0cnhn(x)

=g(x) 

 

となるので、

 

F2g(x)=g(x)

 

これはつまり2階フーリエ変換は「引数マイナス倍の作用素」と言える。

ここでxDxp=pxpとなる事から、expfをテイラー展開して掛け合わせると

axDf(x)=f(ax)

と分かるので、定理2を導けた

 

F2=eiπxD

 

また、直ちに

 

F4=1

 

これは、4回フーリエ変換すれば元に戻るということである。

 

定理1を使って書き換えると

 

exp(iπ(Dx)(D+x))=1

さらに[D,x]=1を使うと、

 

exp(iπ(D2xD+Dxx2))=1

exp(iπ(D2x2+1))=1

より定理3が導かれた

 

exp(πi(D2x2))=1

 e2πi(D2x2)=1

 

この結果は多重化することも可能です。つまり

X=(x1,x2,xn)=(x1,x2,,xn) 

と置くとA,B[A,B]=0ならば指数法則が成立し

eAeB=eA+Bとなるので

 

e2πi(2X2)=1

 

内積で2はラプラシアンですがすごく美しい関係式です!

調和解析の1分野として分階数フーリエ変換が提案されている。

これは人工的な概念ではt階フーリエ変換は指数関数として

Ft=exp(iπt4(Dx)(D+x))

として書く事が出来るのが有用な概念として位置づけられる理由である。

投稿日:2021524
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赤げふ
赤げふ
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東工大情報B4 数学,理論物理,Minecraft計算機/微分演算子の記事を書きます/主に表現論,量子群,物理の数理に興味があります

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