「Tauberの定理」と呼ばれる、次の命題があります。
複素数列
及び
を満たすとき
が成り立つ.
これは次のように容易に証明できます。
となるが、最右辺第一項は
より
と評価でき、
を得る.また,第二項は
となる。以上から
すなわち
が従う。
さて、Littlewoodはこの条件を弱めることに成功し、次の定理を得ました。
複素数列
及び
を満たすとき
が成り立つ.
この定理のLittlewood自身による証明は非常に複雑で、定理1に比べて難解なものになっています。しかし、その後Karamataという数学者によって、比較的簡単な証明が得られました。それを紹介します。
先に補題を2つ提示しておきましょう。
定数
で定めると、任意の
が成り立つ。
定義から
Weierstrassの多項式近似定理(実はこの補題の証明に用います)とよく似ていますが、
次の極限が成り立つ。ただし,
それぞれの補題の証明は後で行います。では定理2の証明を見てゆきましょう。
以下、
より、
さて、補題3における関数
により定める(すなわち
となる。ここで、補題3における
で定めると
となる。さらに、多項式
となる。よって
が成り立つ。
また、補題4より
が成立する。
以上から、
となる。従って
であることが示された。
どうでしたでしょうか。関数
では、最後に補題の証明を行います。
を満たす。これより、ある
が成り立つ。また、
を満たすようにとれる。ここで、単調増加な一次関数
を満たすように定めると、
が成り立つ。さらに、関数
で定めると
を得る。また
が成り立つ。常に
及び
が従い、示された。
次に
を満たすように定める。すると、上と同様に評価することで、
が成り立つことが分かる。さらに、関数
で定めると、関数
を得る。また
が成り立つ。常に
及び
が従い、示された。
となり一つ目の極限が示された。
また、
及び
となるが、
となり2つ目の極限も示された。
これにて定理2の証明は完了です。疲れたー。。。
ちなみに、
定理2において、
実は、これに関して次の命題が得られます。
複素数列
となる。ここで
が成り立つ。よって、
となる。この
となり、
このように、
これにて終わりです。誤字脱字や、数学的誤りなどがあれば教えて頂けると幸いです。