東工大の第2問はタイトルにある通り,楕円に内接する正方形を求める問題です.なかなか凝った誘導ですが,そのおかげでかなり解きやすくなっています.
問題
平面上の楕円
について,以下の問に答えよ.
, を実数とする.直線 と楕円 が異なる 点を共有するための , の条件を求めよ.
実数 , , に対して,直線 と直線 が,それぞれ楕円 と異なる 点を共有しているとする.ただし, とする.直線 と楕円 の つの共有点のうち 座標の小さい方を P,大きい方を Q とする.また,直線 と楕円 の 2つの共有点のうち 座標の小さい方を S,大きい方を R とする.このとき,等式
が成り立つための , , の条件を求めよ.
楕円 上の 点の組で,それらを 頂点とする四角形が正方形であるものをすべて求めよ.
解答解説
この問題,直感的には に () を代入して が求まるので,P, Q, R, S が出てくると思います.
しかし,これがすべてであるかを問われると考えてしまいます.そこをきちんと議論しようというのがこの問題.(1) と (2) はそのための誘導問題です.ちょっとごちゃごちゃとしてますが,やってることは単純です.
(1) の解答
直線 の式を に代入して判別式で終わりです.実際,代入すると すなわち から
が得られます.
であるので,式① は の2次方程式で, と が異なる 点を共有するには,この 次方程式が異なる つの実数解を持てばよいので,判別式を とすると次の条件が出てきます.
よって, となります.
(2) の解答
方程式 ① を解いてみます.すると
が得られるので,P と Q の 座標を と で表すと,
が得られます.同様に,S と R の 座標を と で表すと,
が得られます.ここで,(1) と同様に が条件として出てきます.
4点 P, Q, R, S の 座標をそれぞれ , , , で表すと,P, Q は直線 上の点、R, S は直線 上の点であるので
となります.したがって,
であるので, である必要十分条件は が成立することになります.
この式に , , , を代入すると,
から すなわち が得られますが, であることから となります.
また, すなわち であるとき,(1) の条件から が導出されるので,求める条件は かつ (ただし,) となります.
(3) の解答
まず,設問条件から (1) と (2) の条件が使えることを示す必要があります.それがないと大幅に減点でしょう.
楕円 上の 点で,それらを 頂点とする四角形が正方形となるものを P, Q, R, S とおく.このとき,直線 PQ と直線 PS は垂直であることから,少なくともどちらか一方は 軸と平行ではないことになります.
そこで,一般性を失うことなく直線 PQ は 軸に平行でないと仮定します.このとき,直線 PQ の方程式は とおくことができ,直線 PQ と平行である直線 SR の方程式も とおくことができます.さらに一般性を失うことなく とおくことができます.
ここで,四角形 PQRS が正方形であるとき, であることから,(2) より かつ が成立します.特に, より となります.また, より となります.
このとき,
となり,
が得られ,四角形 PQRS が正方形であることから が直角なので, すなわち より が得られます.
ここで,, , であることに注意してください.
さて, と から
が得られます. から が得られるので, すなわち が得られます.
, , を (2) の に代入することで,
が求まり,これが唯一の解となります.
感想
この問題は,計算はちょっと面倒かもしれませんが,問題そのものは特に難しくはないと思います.自然な流れで解答していくことが可能です.
この問題を誘導なしで,すなわち,(1) と (2) なしで解くのは少々難しいと思います.上記の 点を求めることはできますが,解がそれ以外にないことを示すのが簡単ではない.
もう少し踏み込むと,対角線の交点が原点 O であるときに解は上記の一組しか存在しないことは簡単に示せますが,問題は対角線の交点が O にしかならないことを示すことです.
真面目に考えたわけではないですが,それを示す良い方法が現時点では見つからないので,この誘導は妥当だと思います.