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Gregory coefficients のお話

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まず, 自然数nに対し, Gnを以下のように定めます.

Gn=1n!01x(x1)(xn+1)dx=01(xn)dx

ただし(xn)=x(x1)(xn+1)n!は一般化された二項係数です. これはxの多項式になります.

まず, このGnの母関数を求めてみましょう. これは簡単で, (1+z)xzに関するTaylor展開が一般化された二項係数を用いて
(1+z)x=n=0(xn)zn
と表されることを用いれば, 両辺をx:01で積分して
n=0Gnzn=01(1+z)xdx=zlog(1+z)
と分かります.

これを利用すると, N2に対しz=log(1+z)Gnzn の両辺のzNの係数を比較することで,
0=[zN](log(1+z)Gnzn)=k=0N([zNk]log(1+z))([zk]Gnzn)=k=0N1(1)Nk1NkGk
即ちk=0n1(1)kGknk=0 (n2)を得ます.

これは
01k=0n1(1)knk(xk)dx=0
と書くと少し面白いですね.

ここで唐突に, 以下のような積分路に沿って関数f(z)=1(zα)logzを積分することを考えてみましょう. ただしαR0{1}とし, 対数の偏角はπ<argz<πをとるものとします.

積分路 積分路

すると, Rで円弧上の積分は0になり, 原点周りの積分も0になりますから,
2πiResf=+0i+0if(z)dz+0i0if(z)dz=0f(eiπx)eiπdx+0f(eiπx)eiπdx=0dx(x+α)(logx+iπ)+0dx(x+α)(logxiπ)=2πi0dx(x+α)(log2x+π2)

極はz=1,αであり,Resz=1f=11α, Resz=αf=1logαなので,

0dx(x+α)(log2x+π2)=1logα+11α
が結論されます.

ここでα=1+zとするとなんと,
0dx(x+1+z)(log2x+π2)=n=1Gnzn1
となるではないですか!

両辺を(n1)階微分してz=0とすることで,
0dx(x+1)n(log2x+π2)=(1)n1Gn
を得ます.

これは
0dx(x+1)n(log2x+π2)=01|(xn)|dx
と書くと面白いですね.

最後になりますが, 実はこの係数GnはGregory coefficientsと呼ばれるものなのでした. ( Wikipedia 参照)

読んでくださった方, ありがとうございました.

投稿日:2021529
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東大数理M1

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