準備
たて、よこ、高さの直方体を考えます。その体積、表面積、辺の全長は、下記の公式で表せます
ここで、となる直方体が存在するかどうかを考えてみましょう。
自明な直方体としては、大きさがのとき、すなわち、の直方体が、となるので、存在します。
しかし、 より大きな直方体では、どうでしょうか?
証明
背理法を使って、この予想を証明します。
仮に、そのような直方体が存在するとしますと、
を公式を用いてについて解いて、
を公式を用いてについて解いて、
両者より、
両辺に掛けて
これを展開して、
についての二次方程式の形に変形します。
が実数解を持つには、2次方程式の解の公式の判別式がより大きくないといけません。
ここで、は、体積がより大きい直方体の辺の長さ、すなわちより大きい実数なので、は必ず正になります。
そうしますと、であるためには、残りのがより大きければ、よいわけです。
しかし、式は、増減表を書くとわかりますが、がどのような実数値をとっても、最大でもにしか到達できない、必ず負の値になる放物線なのです。
従って、直方体の辺の長さであるはずのが実数ではないことになり、矛盾してしまいます。これで、最初においたより大きいの直方体が存在するという仮定が誤っていたことが示されました。
証明できましたので、予想は晴れて定理に昇格しました!
余談1
となる直方体は存在します。しかも、なんと辺の長さが自然数になる例が、いくつか知られています。
ポテト一郎さんの、(初学者には有害な)表面積の練習問題
余談2
となる正多角柱は、が以上の正角柱について、存在します。
https://twitter.com/aoki_taichi/status/1319355406490107904