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平行四辺形の各頂点から任意の半径で円を描いてみた

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備忘録のような記事。幾何の研究の途中でこの問題が必要になったので示しておく。
 先行研究をご存知の方は是非コメントを願いたい。

問題

 平行四辺形ABCDにおいて、点Aを中心とする円ωAを描く。同様にωB,ωC,ωDも描く。
 ωAωBの2交点をそれぞれP,QωBωCの2交点をそれぞれR,SωCωDの2交点をそれぞれT,UωDωAの2交点をそれぞれV,Wとする。
 このとき、8点P,Q,R,S,T,U,V,Wは1つの2次曲線(もしくはそれが退縮したもの)上にあることを示しなさい。

解答

幾何を嗜むものとしてあまり好ましくない選択だが、解答を簡潔にするため座標を用いて示す。
 平行四辺形の4頂点の座標をそれぞれA(a,b),B(c,d),C(a,b),D(c,d)とすると、ωAωDの方程式は実数p,q,r,sを用いて

ωA:x2ax+y2+by+p=0ωB:x2cx+y2+dy+q=0ωC:x2+ax+y2by+r=0ωD:x2+cx+y2dy+s=0
と表せる。
 ここで8点PWが共通して満たす性質を考えると、それは
(ωAまたは円ωC上にある)かつ(ωBまたは円ωD上にある)

ということである。したがって、以下の2つの式が描くグラフはいずれも8点PWを全て通る。
(x2ax+y2+by+p)(x2+ax+y2by+r)=0(x2cx+y2+dy+q)(x2+cx+y2dy+s)=0
 さて、おぼろげながら以下のような式が思い浮かぶ。
(x2ax+y2+by+p)(x2+ax+y2by+r)(x2cx+y2+dy+q)(x2+cx+y2dy+s)=0(X)
 (X)を変形していく。(ただし、p+q+r+s=H,p+qrs=I,pq+rs=J,pqr+s=Kとおく)
(x2ax+y2+by+p)(x2+ax+y2by+r)(x2cx+y2+dy+q)(x2+cx+y2dy+s)=0((x2+y2+p+r2)2(axbypr2)2)((x2+y2+q+s2)2(cxdyqs2)2)=0((x2+y2+p+r2)2(x2+y2+q+s2)2)((axbypr2)2(cxdyqs2)2)=0(2x2+2y2+H2)(J2)((a+c)x(b+d)yI2)((ac)x(bd)yK2)=0
 以上の変形から、(X)x,yに関する2次以下の式である。(X)は明らかに8点PWを通るため、題意は示された。(証明終)

あとがき

4つの円の半径が全部任意であるところがよい。拡張の可能性を感じさせる。
 ただ、今回の記事はあまりネタ要素を入れられなかったので、謹み慎み反省の意を示す所存である。次回はもう少しネタに奔りt

投稿日:202171
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匿(Tock)
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主に初等幾何・レムニスケート。時々偏差値・多重根号。 「たとえ作曲家が忘れ去られた日であっても、彼の旋律が街並みを縫って美しく流れていますように。」

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