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有限体上の2次曲線

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[事実] F_p上の非特異射影2次曲線は、射影直線と同型で、従って(p+1)点を持つ。

[観察] 典型的な具体例
C = {[X:Y:Z] | AX^2+BY^2=Z^2}, AB≠0, A=a^2とおける場合、
[X:Y:Z] = [As^2-Bt^2: 2Ast : a(As^2+Bt^2)]
[s:t] = [aX+Z:aY]
の関係で、射影直線 {[s:t]} と同型となる。
(この関係で[0:0:0]に移らないためにAB≠0が必要)

[関係式の導出背景]
C上には、P=[1:0:a]という1点がある。
Cは2次曲線なので、「点Pを通る射影直線」は、Cともう1点で交わる。こうして、「点Pを通る射影直線」と「C上の点」を1対1に対応させることができる。(接線の場合は点Pを対応させる)
そこで、「点Pを通る射影直線」の集合は s(aX-Z)+tY=0 のようにして {[s:t]}でパラメータづけることができるので、結局「C上の点」も{[s:t]}でパラメータづけられる。

*イメージとしては、xy平面での点(x,y)=(1/a,0)を通る傾きkの直線ky=(x-1/a)と、曲線Ax^2+By^2=1とのもう1つの交点を求めて、kでパラメータづける計算の射影バージョンである。

[この観察例への帰着]
*標数が2でなければ平方完成できる。平方因子が2つ以下の場合は特異点を持つので平方因子は3つで、AX^2+BY^2=Z^2とおける。
Aが平方非剰余でBが平方剰余ならXとYの役割を入れ替え、A,Bがともに平方非剰余ならYとZの役割を入れ替えると、観察例の形に帰着できる。

*標数が2の場合は平方完成できるとは限らないので個別検討などの別の議論が必要になる。

*下記Chevalley-Warningの定理を使うと、F_p点を少なくとも1つは持つことが分かり、具体的な計算をせずに目的を達成できる。

[特異点を持つ場合の例]
・Z^2=0: 二重曲線, F_p点は(p+1)点
・X^2=Z^2: 2つの射影直線, F_p点は(2p+1)点
・X^2+Y^2=0, p=3: 退化?, F_p点は1点 [X:Y:Z]=[0:0:1] のみ。

[参考]
・ハッセヴェイユの境界によると、
種数gの曲線のF_p点の個数は、p+1±2g√pの間にある。
2次曲線の場合はg=0という特殊な場合と位置付けることができる。

・Chevalley-Warningの定理
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14155395959
特定の条件を満たす方程式系の整数解の個数はpの倍数であることを主張する。
(3変数2次方程式はその条件を満たす。)
証明は技巧的だが初等的で上記URLの回答でも簡潔に説明された。

(補足) 上記の(p+1)点という結果はpの倍数じゃないと思うかもしれない。
これは、射影曲線の点としては全部の成分を定数倍した点を同じものとみなすが、この定理での整数解の個数はそれらを区別し、また(0,0,0)もカウントすることによる。
そうすると射影曲線上の(p+1)点は、方程式の解としては(p^2-1)個に相当し、(0,0,0)を加えると確かにpの倍数になる。

・射影曲線じゃなくてアフィン曲線の場合
無限遠直線Z=0との交点(0か1か2個)を差し引けば良いので(p-1)かpか(p+1)点ということになると思う。

・これを書いたきっかけ
https://twitter.com/Numerus_A/status/1418396733692809218 を見て

投稿日:2021724

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