を進数であらわしたときの各桁の積
は の約数である。このほか、
は、自分自身を進数であらわしたときの各桁の積で割り切れる(
OEIS: A007602
)。こうした数をズッカーマン数 (Zuckerman number) という(Tattersall, 2005, p. 86, 問題44-45)。
進数であらわしたときにを含む数は、各桁の積もとなるから、各桁の積で割り切れないのでズッカーマン数とはならない。しかし、たとえば を進数であらわしたときの各桁の数で以外のものの積
は の約数である。
は、自分自身を進数であらわしたときの各桁の以外の数の積で割り切れる(
OEIS: A002796
)。
なお、以下、各桁の数のとり方については、断りなく、進数であらわしたときの各桁の数とする。
レピュニット (Repunit) はすべての桁がだから、その積も となるのでズッカーマン数である。とのみですべての桁が構成され、かつをつでも桁の中に含む数はズッカーマン数ではないが、各桁の数からを除いたものの積はとなるので、自分自身の各桁の以外の数の積で割り切れる数となる。
それでズッカーマン数も、ズッカーマン数ではないが自分自身の各桁の以外の数の積で割り切れる数も無数に存在することはすぐにわかる。
De KoninckとLucaはこのような形の数について研究し、 が大きいとき 以下のズッカーマン数の個数は より大きいが より小さく、 以下の、自分自身の各桁の 以外の数の積で割り切れる数の個数は より大きいが より小さいことを示した(De Koninck and Luca 2007, 2017、2007年には個数の上界として、それぞれ , がとれると主張していたが、筆者が誤りを指摘して2017年に修正されたもの)。
このことから、ズッカーマン数の逆数の和、および自分自身の各桁の以外の数の積で割り切れる数の逆数の和は収束することがわかる。
以前、ズッカーマン数に関する問題をtwitterで見つけたとき、この論文を参照してズッカーマン数の逆数の和が収束することを
ツイートしたが
、ズッカーマン数の逆数の和、および自分自身の各桁の以外の数の積で割り切れる数の逆数の和は収束することは、より簡単に証明できるので、この記事ではその証明を記す。
ズッカーマン数の逆数の和は収束する
ズッカーマン数の逆数の和が収束することは比較的容易に示せる。
を 以下のズッカーマン数の個数とする。
進数であらわしたときにを含む数はズッカーマン数とはならないから、以下のズッカーマン数は、桁以下の数で、を含まない数でなければならない。そのようなものの個数はに一致するから、のとき、
となる。よって 番目のズッカーマン数を とすると
より
なので
は収束する。
自分自身の各桁の 以外の数の積で割り切れる数は収束する
一方、自分自身の各桁の 以外の数の積で割り切れる数の逆数の和が収束することの証明には、やや込み入った議論を要する。
を自分自身の各桁の 以外の数の積で割り切れる 以下の数の個数とし、 となる整数 をとる。 以下の正の整数のうち、進表示における の個数が 個のものの個数は多くとも
であり、 の個数が 個のものの個数は多くとも
である。
を自分自身の各桁の 以外の数の積で割り切れる正の数とする。 だから は 桁以下の正の整数である。
より小さい整数 をとる。 の個数がともに 個以上のとき、各桁の 以外の数の積は で割り切れなければならないから は の個数が 個以下か、 の個数が 個以下であるか、あるいは の倍数でなければならない。よって
なので
となるから
が成り立つ。
とすると となる。
とおくと
なので
となる。
だから
なので
および より
となる。
なので
となり
となる。
よって 自分自身の各桁の数のうち 以外のものの積で割り切れる 番目の正の整数を とすると、 ならば
となる。というのは かつ ならば
となって矛盾するからである。
したがって、
は収束する。
参考論文
Jean-Marie De Koninck and Florian Luca, Positive integers divisible by the product of their nonzero digits, Port. Math. 64 (2007) 75--85,
doi: 10.4171/PM/1777
Jean-Marie De Koninck and Florian Luca, Corrigendum to "Positive integers divisible by the product of their nonzero digits", Portugaliae Math. 64 (2007), 1: 75--85, Port. Math. 74 (2017), 169--170,
doi: 10.4171/PM/1999
, preprint avairable from
MPG.PuRe