みなさん高校で数学を教わったとき,実数解については関数のグラフとx軸の交点で表されるので視覚的にも実感の沸くものとなっていたと思います.ですが虚数解はどうでしょう.周りにはイメージが沸かず苦しんでいる人が多くいたのではないかと思います.その末.「虚数とは、実際に存在するのだろうか」などの愚問が出てきてしまうのです.そこで,ならば実際に虚数解を見てしまおうというのが今回の記事です.
高校数学では主に関数を調べるとき,$\R→\R$の範囲でしか考えないため,そのグラフに虚数解が現れないのは当然です.そこで定義域を$\R$から$\C$に拡張しようと考えました.つまり,
$\R→\R$のときは2つの実直線の組み合わせで平面を作り出しましたが,$\C→\R$では複素平面と実直線の組み合わせで空間を作り出すのです.すなわち,グラフは3次元空間に描かれるということです.では早速具体例を見て活きましょう.
今回は$x^2+1=0$について考えていきます.まず解を調べると,
$ \displaystyle{
\begin{align}
x^2+1&=0\\
x^2&= -1\\
x&=±i
\end{align}
}$
となり解は$±i$であることがわかります.虚数解ですね.通常のグラフでは,
$y=x^2+1(x,y∈\R)$
となり当然ながら虚数解は見れません.ここで$x$を複素数の範囲に拡張すべく$x=α+βi (α,β∈\R)$とおきます.つまり,$\C→\R$を$\R×\R→\R$とするということです.これを代入して計算すると,
$ \displaystyle{
\begin{align}
y&=x^2+1\\
y&=(α+βi)^2+1\\
y&=α^2-β^2+1+2αβi
\end{align}
}$
となります.ここで$y∈\R$より,
$2αβ=0⇔a=0∨β=0$
ここから$α=0$のときと$β=0$のときで場合分けをして調べていきます.
①$α=0$のとき
$y=-β^2+1$
②$β=0$のとき
$y=α^2+1$
これで$y=x^2+1(x∈\C,y∈\R)$がどのようなグラフを描くのかがわかりました.次のようになります.
$y=x^2+1(x∈\C,y∈\R)$
どうでしょうか.$x$平面とグラフの交点を見ると虚数解の$x=±i$でしっかり交わっていることがわかると思います.
これは1つのイメージする手法としてあっていいと思います.同じ考え方で$e^{iπ}=-1$なども視覚的に実感することができます.本来だったら$\C→\C$まで拡張したいところですが,そうすると4次元空間になってしまうため観察が困難になります.なので,今回は$\C→\R$で考えていきました.少しでも面白いも思って頂けたら幸いです.