お久しぶりです.気が向いたので記事を書きます.私は以前までは双複素解析学の記事を投稿していましたが,現在は全く双複素解析学に触れておらず解析数論の研究に勤しんでおります.そこで,私の研究の紹介はできませんが,解析数論と言えば素数定理だなと思い,この素数定理について気ままに書こうと思います.
素数定理とは自然数の中に無限個存在する素数の割合に関する定理です.
まず,素数の個数関数$\pi(x)$を定義します(素数はPrime Numberなので,頭文字をとって$p$ですが,ギリシャ文字に対応させて$\pi $になっています).
$x>0$に対して,素数の個数関数$\pi (x)$を次で定義する:
\begin{equation}
\displaystyle \pi (x)= \sum_{\substack{p< x\\p:素数}}1
\end{equation}
つまり,$x$未満の素数の個数を$\pi(x)$としましょうって感じですね.例を2つ見ておきます.
$\pi(10)=4,\pi (100)=25$
さて,素数定理を紹介しましょう.と言いたいところですが,1つだけ準備するものがあります.近似するの意味を明確にしておきます.
関数$f(x),g(x)$が$f(x)\sim g(x)\ (x \to \infty)$であることを次の式で定義する:
$$\lim_{x\to \infty}\dfrac{f(x)}{g(x)}=1$$
$x$が十分大きい値をとるところでは,関数$f(x),g(x)$はほとんど同じような発散度合いということになりますね.これも例を見ておきましょう.
$f(x)=3x^2-2x+10,g(x)=3x^2-x$とすると,
$$\lim_{x\to \infty}\dfrac{f(x)}{g(x)}=1$$
なので,$f(x)\sim g(x)$である.
$x\to \infty$とするときに,$f(x),g(x)$の1次以下の部分は$3x^2$と比較すると発散速度が遅いので,あまり重要視しないということですね.それぞれの関数の発散度合いがほとんど同じ.そこだけに注目した考え方です.
素数の個数関数$\pi (x)$について,次が成り立つ:
$$\pi (x)\sim \dfrac{x}{\log x}\ (x\to \infty).$$
これは驚きですね.$x$未満の素数の個数がおおよそ$\dfrac{x}{\log x}$で近似できることを表しています.また,$x$で割ると$\dfrac{\pi(x)}{x}\sim \dfrac{1}{\log x}$となり,$x$未満の自然数を1つ選んだときにそれが素数である確率がおおよそ$\dfrac{1}{\log x}$であることも示しています.この定理は本当に美しいと言いますか,式が完結なのにさまざまなことを述べていて感動します.ちなみに,$\dfrac{100}{\log 100}$の値はだいたい$21$です.$\pi (100)=25$なので,そこそこ正確な近似と思えますね.
今回はここまでにします.証明も何もしていないので数学っぽくなかったですが,それらに関してはまた気が向けばということで.ありがとうございました.