他の記事を読む上で最低限必要な集合についての言葉をまとめました。冪集合と逆像について書いてあります。
冪集合
冪集合
与えられた集合に対し、その部分集合を全て集めるとまた集合となる。これをの冪集合といい、などとあらわす。
冪集合はと書くこともあるが、確率のと紛らわしいのでこのノートではで表すことにする。であるときであり、またであるときである。集合を要素に持つ集合になるのに慣れておこう。
上で見たことから想像できるように、の要素が有限で個であるとき、は要素を個持つ有限集合である。
冪集合の部分集合を与えることは、の部分集合に対する条件を定めることと同じ。
とする。に対応する条件として、がを満たすこととする。
つまり、を要素にもつ部分集合全体を集めてその集合をと名付けたということ。
例えばであるが、である。
逆像
集合の間の写像によるの部分集合の逆像を定義する。これはの部分集合で次のように定まる。
逆像
を写像とし、とする。
このとき、のによる逆像とは次で定まるの部分集合のことを言う。
という記号について一つ注意しておく。についてその逆写像が存在するとき、それをと表記する。この逆写像を表すと逆像を表すは別のものである。これらは、逆写像であればのようにの要素に対して定まるものであるのに対し、逆像はのように部分集合、あるいは同じことだがに対して定まるものであるということで区別がつく。数学では文字や変数がどこの集合の要素であるかを常に注意する必要がある。ここではに対するであるのか、に対するなのかをしっかりと見極めよう。
ところがさらにややこしいのが、とに対してであるからその逆像が定まるのだが、これのことをと略記することがあるし、実際にこの講義やノートの中でも頻繁に用いる。
を実数全体の集合とし、をにより定める。の部分集合である閉区間を次の記号で表す。 このとき、 となる。
定義や上の例からわかるように、逆像により写像が定まる。改めて注意するが、これは逆写像とは異なるものである。
逆像については
この動画
を参照してください。
逆像の性質
逆像という操作は集合に対する演算との相性がよい。
証明については
こちらの動画
を参照してください。