Banach環についての準備
Banach環
可換環上のBanachノルムとは関数で、以下を満たすものである:
- (semimultiplicative)
Banach環とは可換環と完備なBanachノルムの組である。
- 任意の完備局所体は付随するノルムでBanach環となる。
- 任意の環と自明なノルム
- 複素数体とノルム。ここで、は通常のユークリッド・ノルム。
- 完備局所体と実数に対して、を形式級数で、が収束するものの集合とする。このとき、とする。
一般には、すら成り立たない。これが成り立つBanach環をuniformと呼ぶ。
ここで、Banach環の射を以下で定義する:
bounded環準同型
Banach環の環準同型がboundedであるとは、定数が存在して任意のに対してとなることである。
スペクトル半径は上の注意で述べたが成り立たないという問題に解決策を与える(uniformである)。
上のほとんどの性質の証明は簡単である。の証明だけ多少の工夫を要する。
スペクトル半径の連続性
Banach環に対して、スペクトル半径はノルムに関して連続である。
Banachノルムのsemi-multiplicativity不等式より、となる。つまり、である。
ここで、を任意にとる。すると、任意のとなるに対して、となる。
特に、はノルムになっている。
スペクトル半径がから構成できる自然なuniformなノルムであることは、以下のように定式化できる:
uniformization
Banach環のuniformizationとは、のseparated completionである。(ここで、はのスペクトル半径)
これは、次の普遍性を満たす:
任意のuniformなBanach環に対して、bounded環準同型はを通る。
ここで、separated completionは正確には定義しないが、完備化のようなものである。
完備な非アルキメデス局所体と実数に対して、のスペクトル半径は:
である。
これはここでは証明しないが、以下の複素数体の議論のアナロジーである。
複素数体上の形式級数環のスペクトル半径
とする。
まず、三角不等式よりとなる。任意のについて成り立つので、正整数に対して、となる。乗根をとってを取るとを得る。
次に、を示す。の連続性により、を多項式と仮定して良い。
コーシーの積分定理
より、を原点周りの半径の円周とすると、
なので、和をとることで
を得る。は任意だったので、と取り替えると、
なので、
で、をとると欲してた結果を得る。
上の定理は、のuniformizationが
disc algebra
であることを言っている。