本稿では,「直前の2項を足し合わせたものを次の項とする」という極めて単純な定義ながら,とても美しい性質を数多く秘めているFibonacci数列,およびLucas数列を扱う.Fibonacci数の関係式の一部が三角関数の関係式に似ていると感じたことから本稿ではその関係性を考え,最終的にはFibonacci数列等に関する新たな一般項を表す式を導く.さらには,Chebyshev多項式との繋がりも見出す.
この章では,定義や一般項を表すBinetの公式など,Fibonacci数列周辺の基本事項を確認する.
次の漸化式で定まる数列
また,次の漸化式で定まる数列
さらに,Fibonacci数列の項に出てくる数をFibonacci数,Lucas数列の項に出てくる数をLucas数という.
Fibonacci数列の特性方程式
Fibonacci数列の一般項
Fibonacci数列,Lucas数列の一般項は次の式で表される.
さらに,Fibonacci数,Lucas数それぞれについて加法定理も存在する.
任意の自然数
Binetの公式を代入し,計算すると従う.
この章では本題のFibonacci数,Lucas数と三角関数との関係について考える.
Eulerの公式より,三角関数は次のように表される.
これより先,
三角関数の加法定理などを用いて変形していくと求めたいものを得ることができる.
ちなみに,先ほど証明した加法定理は,これを用いることでも証明することができる.
任意の自然数
Fibonacci数,Lucas数をそれぞれ三角関数表示して計算するだけである.
非負整数
命題4を用いることで,定理2の次の表現を得る.
なお,