この記事ではレイリーの定理について扱います。
$2$つの無理数$\alpha,\beta >0$が$\cfrac{1}{\alpha}+\cfrac{1}{\beta}=1$を満たすとき、
数列[$n\alpha$]$(n=1,2,3\dots)$に出てくる数の集合を$A$、
数列$[n\beta](n=1,2,3\dots)$に出てくる数の集合を$B$とすると
$A \cup B=\mathbb{N} A \cap B= \varnothing$
これだけだとわかりにくいので例を見てみましょう。
例えば$\alpha$を$\sqrt2$とすると、$\beta$は$\cfrac{1}{1-\cfrac{1}{\sqrt2}}=2+\sqrt2となる。$
今お手元に紙がある方は下を見る前に$[\sqrt2n],[(2+\sqrt2)n]$を是非手でそれぞれ求めてみてください!
$$
\begin{array}{cccc}
n & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 & 12 \\
[\sqrt2n] & 1 & 2 & 4 & 5 & 7 & 8 & 9 & 11 &12&14 &15 &16 \\
[(2+\sqrt2)n] & 3 & 6 & 10 & 13 & 17 & 20 & 23 & 27 &30 &34 &37 &40 \\
\end{array}
$$
確かに二つの数列にかぶりはないです!
また、二つの数列を合わせると$1,2,3,4,5,6,7,8...$となり出てこない自然数はないです!
僕は初めてこれを見た時はとても感動して驚きました!
たまたまだと思う人もいるかもしれないのでもう一つ例を挙げてみます。
$\alpha$を$\sqrt3$とすると、$\beta$は$\cfrac{1}{1-\cfrac{1}{\sqrt3}}=\cfrac{3+\sqrt3}{2}$となる。
$$
\begin{array}{cccc}
n & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 & 12 \\
[\sqrt3n] & 1 & 3 & 5 & 6 & 8 & 10 & 12 & 13 & 15 & 17 & 19 & 20\\
\left[\cfrac{3+\sqrt3}{2}n\right] & 2 & 4 & 7 & 9 & 11 & 14 & 16 & 18 & 21 & 23 & 26 & 28
\\
\end{array}$$これもだぶりやもれがありません!!
うまく避けているようにまで見えますね
感動です!
証明はそこまで難しくありません。
A \cup BをソートしたものをCとします。
$A$と$B$を(重複ありとして)ごちゃまぜにして、ソートをした数列を$C$とします。(2021/11/14 編集)
$A$の$n$番目の数字の$[\alpha n]$が$C$の何番目に出てくるかを考える。
$A_n=C_k$と置くと、
$k=\underbrace{n}_{A_n以下のAの要素の数}+\underbrace{\left[\cfrac{\alpha n}{\beta}\right]}_{A_n以下のBの要素の数}$
$=n+\left[\cfrac{\alpha n}{\beta}\right]$
$=\left[\cfrac{\alpha n}{\alpha}+\cfrac{\alpha n}{\beta}\right]$
$=[\alpha n]\left(\cfrac{1}{\alpha}+\cfrac{1}{\beta}=1より\right)$
$=A_n$
よって$A_n$は$C$の$A_n$番目に出てくることがわかる。
$\to$$C$の$n$番目には$n$が出てくる
$\to Cは\mathbb{N}$ということがわかる
$\to A \cup B=\mathbb{N} A \cap B= \varnothing$
証明も面白いですね!
ここまで見てくださりありがとうございました!m(__)m
この定理、とても面白くて僕は大好きです!