11

極限の問題の母関数を使った解法

1562
0
$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{asn}[0]{\hspace{16pt}(\mathrm{as}\ n\to\infty)} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{beq}[0]{\begin{eqnarray*}} \newcommand{c}[2]{{}_{#1}\mathrm{C}_{#2}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{cb}[0]{\binom{2n}{n}} \newcommand{d}[0]{\mathrm{d}} \newcommand{del}[0]{\partial} \newcommand{dhp}[0]{\dfrac{\pi}2} \newcommand{ds}[0]{\displaystyle} \newcommand{eeq}[0]{\end{eqnarray*}} \newcommand{ep}[0]{\varepsilon} \newcommand{G}[1]{\Gamma({#1})} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{hp}[0]{\frac{\pi}2} \newcommand{I}[0]{\mathrm{I}} \newcommand{l}[0]{\ell} \newcommand{limn}[0]{\lim_{n\to\infty}} \newcommand{limx}[0]{\lim_{x\to\infty}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{nck}[0]{\binom{n}{k}} \newcommand{p}[0]{\varphi} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{space}[0]{\hspace{12pt}} \newcommand{sumk}[1]{\sum_{k={#1}}^n} \newcommand{sumn}[1]{\sum_{n={#1}}^\infty} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{tc}[0]{\TextCenter} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

${}$

 この記事では, 以下の問題の解説をしようと思います.


 $1$$n$の数を無作為に並べた時, 大小大小...の順(例えば"51423"等)に並ぶ確率を$p_n$とする.
 $\ds\limn\frac{p_{n+1}}{p_n}$ を求めよ.

漸化式を立てる

 まずは, 漸化式を立てます. このような並べ方の場合の数を$a_n(=n!\cdot p_n)$とおきます.

 ここで, $n\geq2$のとき, 小大小大...の順に並べる方法も同じく$a_n$であることに注意します.(これは各位の数を$n+1$から引けばすぐにわかります.)

 $(n+1)$個の数の並びであって, 「大小大小...」または「小大小大...」となっているものについて考えます. この並びの$(k+1)$番目が$1$であるとしましょう. すると, $1$から左向きに見ていくと, 大小大小...の順で$k$文字が並んでいて, 同様に右向きに見ていけば, 大小大小...の順で$(n-k)$文字が並んでいます.

 これを踏まえれば, $k=0,1,\cdots,n$に対して, $(k+1)$番目に$1$を置き, それより左に入る数を$\ds\binom{n}{k}$通りの中から選んで$a_k$通りで並べ, 同様に右に入る数を$a_{n-k}$通りで並べれば, $2a_{n+1}$通りの並べ方が再現できることが分かります. (但し, 便宜的に$a_0=1,a_1=1$とします.)

 従って,

$$ 2a_{n+1}=\sum_{k=0}^n\binom{n}{k}a_k\,a_{n-k}$$

が, $n\geq1$で成り立つことが分かりました. これに$\ds a_n=n!\cdot p_n$を代入して,
$$ 2(n+1)p_{n+1}=\sum_{k=0}^np_k\,p_{n-k}\quad(n\geq1)$$
を得ます.

母関数を利用する

 $\ds f(x)=\sumn{0}p_nx^n$ とおきます.

 まず,
$$ \sumn{0}2(n+1)p_{n+1}x^n=2f'(x)$$
さらに,
$$ \sumn{0}\left(\sum_{k=0}^np_k\,p_{n-k}\right)x^n=f(x)^2$$
となります.

 これら2式の全ての係数が等しいので...としたいところなのですが, 例の等式は$n\geq1$でしか成立せず, 具体的には$n=0$のときは右辺に$+1$が必要になります.(つまり, 定数項のみ$+1$が必要になります.) 従って, 係数を比べて,
$$ 2f'(x)=f(x)^2+1$$
が成り立ちます.

微分方程式を解く

 これは基本的な微分方程式になりますね. $2y'=y^2+1$の解ですから, 変数分離して$\ds y=\tan\left(\frac x2+C\right)$のようになります. さらに$f(0)=p_0=a_0=1$ですから$C$も求まって,
$$ f(x)=\tan\left(\frac x2+\frac\pi4\right)$$
となります.

極限を求める

 $f(x)$の原点から最も近い特異点は$x=\dhp$ですから, このTaylor展開の収束半径は$\dhp$となります. 従って,
$$\limn\frac{p_{n+1}}{p_n}=\frac{2}{\pi}$$
です.
${}$

ここまで読んでくださった方, ありがとうございました.

${}$

${}$

投稿日:202197

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

東大理数B4です

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中