型無しラムダ計算において,Yコンビネータ
によりラムダ項の不動点が得られ,再帰関数が実現できることはよく知られている.実は,Yコンビネータを用いることでラムダ項に対し
なる相互再帰の不動点の組を作ることができる.そのためにはタプルが必要なので,型無しラムダ計算の枠組みの中でタプルを扱うためにいくつかのエイリアスを定義する.
これで, と書ける.続いて,のタプルを受け取るバージョン
を用意する.これらを用い,をタプルにまとめて不動点を取ればよい.すなわち,
とすると,
なので,, とおけば,
を得る.これは直ちにn個のラムダ項の相互再帰に一般化できる.n個のタプルを
とし,
とおいて
とすれば,
なる不動点の組を得る.ここでタプルに対する関数を
で定義すると,Yコンビネータを用いてを計算する部分は
と書ける.このをY*コンビネータと言う(らしい).