代数曲線論メモ
お試しでの記事作成として、
小木曽啓示 代数曲線論
を読んだメモ。
以下でリーマン面と言ったらコンパクトリーマン面のこととする。は大体、コンパクトリーマン面を指す。
上の正則関数のなす層を と記す。
因子に付随する層
を 上の因子とする。 の各開集合 に対して
とおき、自然な制限写像を考えると は層になる。これを因子 に付随する層という。
の正の成分が大事っぽい。正の成分があると、切断 として極を持つようなものが許される。例えばある点 について とすれば は において2位の極まで持ってもよい。(持たなくてもよい。)
いっぽう、負の成分は に零を持つことを強制する。 とすれば は において2次以上の零を持たねばならない。
リーマン・ロッホの定理
リーマン・ロッホの定理
を種数 のコンパクトリーマン面とするとき、
ただし、
左辺を層 のオイラー・ポアンカレ標数といい、 と書く。
また、コンパクトリーマン面上の大域的正則関数は定数のみなので
であることから、 が成り立つ。
よってリーマン・ロッホの定理は
とも書ける。(こっちのほうが覚えやすい...!)
セールの双対定理
上の 0 でない大域的有利型1形式の定める因子の線形同値類のことを と書き、 の標準因子という。
いくつかの層の同型
(テキスト: 注意6.37(172ページ))
を 上の 0 でない大域的有利型1形式とすると、 であり、
定理からすぐに分かること
上の2番めの式で として、その次元をとればセールの双対定理の左辺の項が出るので、セールの双対定理はさらに
とも書ける。これをリーマンロッホの定理に代入すれば
となる。これは 1次のコホモロジーが出てこなくて、0次のコホモロジー (= 大域切断の空間)だけが出てくるので扱いやすい。
さて、次にセールの双対定理で とすると、
すなわち の種数 は 上の大域的正則1形式全体のなす線形空間の次元に等しい。
これをさらにリーマン・ロッホの定理で としたものに代入すると、
より、
を得る。