気が向いたので記事を書くことにしました.今回は,解析数論の重要な結果である素数定理を拡張した定理,Landauの定理を紹介します.素数定理は,素数に関しての漸近公式を与える定理でした.主張を述べると次のようになります:
正の数$x$未満の素数の個数関数$\pi (x)$に対して,次の式が成り立つ:
\begin{equation}
\pi (x)\sim \dfrac{x}{\log x}\ (x\to \infty).
\end{equation}
つまり,$x$未満の素数の個数を$\dfrac{x}{\log x}$で近似できることを示した式です.そして,Landauの定理とはこの定理を拡張したものになります.どのように拡張するかと言いますと,素数ではなく,素因数の個数を固定した合成数に拡張します.
素因数を$k$個に固定した合成数で$x$未満の自然数の個数を$\pi _{k}(x)$とする.つまり,
$$\pi _{k}(x)=\#\{p_{1}p_{2}\cdots p_{k}< x \ |\ p_{1}\leq p_{2}\leq \cdots \leq p_{k},\ p_{i}:素数(i=1,2,\ldots,k)\}$$
と定義する.
$\pi _{2}(10)=\#\{4,6,9\}=3,\ \pi _{3}(35)=\#\{8,12,18,20,27,28,30\}=7$
このような合成数に対して,Landauは漸近公式を導きました.それが次の主張です.
$\pi _{k}(x)$に対して,次の式が成り立つ:
$$\pi _{k}(x)\sim \dfrac{x(\log \log x)^{k-1}}{(k-1)!\log x}\ (x \to \infty).$$
これも素数定理と同じように,$\pi _{k}(x)$が$\dfrac{x(\log \log x)^{k-1}}{(k-1)!\log x}$で近似できることを表します.もちろん,$k=1$とすると,$\pi _{1}(x)=\pi (x)$ですから,Landauの定理は素数定理に一致します.
証明の概略だけお話しします.私が知っている限り,証明方法は3通りあります.証明をした人はそれぞれ,Landau,Wright,Mai.です.そうです,3つのうちの1つは私が発見しました.世に認められた論文として書いていませんので,合っているかは不明ですが...
Landauは$\pi _{k}(x)$と$\pi _{k-1}(x)$の関係に注目して,数学的帰納法を用いて証明しました.
$$\pi _{k}(x)=\sum_{p< x}\pi_{k-1}\left(\dfrac{x}{p}\right)+(誤差項)$$
のように1つ下に落とし,和を積分に書き直すことで証明しました.
Wrightは補助関数
$$\vartheta _{k}(x)=\sum_{p_{1}\cdots p_{k}< x}\log (p_{1}\cdots p_{k})$$
を用いて,
$$k\vartheta_{k+1}(x)=(k+1)\sum_{p_{1}\leq x}\vartheta \left(\dfrac{x}{p_{1}}\right)$$
を示し,
$$\vartheta _{k}(x)\sim kx(\log \log x)^{k-1}$$
を数学的帰納法で示しました.そのほかにも補助関数は出てきますが,おおむねこの関数の漸近からLandauの定理は導かれます.
最後の方法は,私Mai.が見つけた方法です.発想はLandauとかなり近いものになっています.一応調べた限りでは同じ証明方法は見つからなかったので,ここで公表することはしません.方法としましては,Landauと同様に1つ下に落とす方法です.
以上で,Landauの定理とその証明の概要についてお話ししました.
また機会があれば記事を書きます.ありがとうございました.