集合$X$に対して、$\mathbb Z\{X\}$を$X$で生成される自由アーベル群とする。つまり、有限個の$x\in X$以外では$0$である整数$n_x\in\mathbb Z$に対しての形式和$\sum_{x\in X}n_x(x)$の集合とする。
自由アーベル群を取る作業は関手$\mathbb Z\{{\bullet}\}\colon\mathrm{Set}\to\mathrm{Ab}$である。これは忘却関手$F\colon\mathrm{Ab}\to\mathrm{Set}$の左随伴である。
$X$を集合、$\sim$を$X$の同値関係とする。
$$\mathbb Z\{X\}/\mathbb Z\{(x)-(y):x\sim y\}\cong\mathbb Z\{X/{\sim}\}$$
射影$X\to X/{\sim}$から誘導される全射準同型$p\colon\mathbb Z\{X\}\to\mathbb Z\{X/{\sim}\}$を考える。$\ker(p)=\mathbb Z\{(x)-(y):x\sim y\}$を示したいが、$\ker(p)\supseteq\mathbb Z\{(x)-(y):x\sim y\}$は自明である。
もし$\alpha=\sum_{x\in X}n_x(x)\in\ker(p)$なら
$$\sum_{x\in X}n_x(\overline x)=0$$
であるので、式変形して
$$\sum_{s\in X/{\sim}}\big(\sum_{x\in s}n_x\big)(s)=0$$
を得る。つまり、任意の$s\in X/{\sim}$について$\sum_{x\in s}n_x=0$となる。各$s\in X/{\sim}$から代表元$x_s\in s$を一つとってくると、
$$\alpha=\sum_{s\in X/{\sim}}\sum_{x\in s}n_x\big((x)-(s)\big)\in\mathbb Z\{(x)-(y):x\sim y\}$$
となる。
ここで圏論的な解釈はできる?
$X$を位相空間とする。$H_0(X)$を$X$の0次ホモロジー群、$\pi_0(X)$を$X$の弧状連結成分の集合とすると、アーベル群の同型
$H_0(X)\cong\mathbb Z\{\pi_0(X)\}$
がある。
上の命題で、$X$に以下の同値関係を入れれば良い: