前々回(執筆時,第372回)の数検一級にて、原点周りの球内での多項式の積分の問題が出ました。うろ覚えかつ問題の公開権限とかいろいろ怪しいので途中までです。ご了承ください。
Ω={(x,y,z)|x,y,z∈R,x2+y2+z2≤1}とし、多項式関数f:R3→Rについて、I(f)=∫Ωf(x,y,z)dxdydzと定めるとき、…
今回はこのI(f)を一般化します。
Ωa:={(x,y,z)|x,y,z∈R,x2+y2+z2≤a2}多項式f∈R[x1,x2,x3]に対してIa(f):=∫Ωaf(x,y,z)dxdydzと定める。
fが重数列al,m,n:N3→Rを用いてf(x,y,z)=∑(l,m,n)∈N3al,m,nxlymznと表せるなら、Ia(f)=∑(l,m,n)∈N3al,m,nIa(xlymzn)である。
f∈R[x1,x2,x3]ならfは可積分でΩa内で有界だから項別積分可能である。
すなわち、Ia(f)を求めるには各(l,m,n)∈N3に対してIa(xlymzn)が求まればよい。
Ia(xlymzn)=∫Ωaxlymzndxdydz=∫0a∫0π∫02π(rsinθcosϕ)l(rsinθsinϕ)m(rcosθ)nr2sinθdϕdθdr=∫0arl+m+n+2dr∫0πsinl+m+1θcosnθdθ∫02πcoslϕsinmϕdϕ
J(α,β)=∫02πsinαθcosβθdθとすれば、J(α,β)=12(1+(−1)α)(1+(−1)β)B(α+12,β+12)である。
J(α,β)=∫0πsinαtcosβtdt+∫−π0sinαscosβsds=∫0πsinαtcosβtdt+∫0πsinα(−s)cosβ(−s)ds=∫0πsinαtcosβtdt+(−1)α∫0πsinαscosβsds=(1+(−1)α)∫0πsinαtcosβtdtであり、∫0πsinαθcosβθdθ=∫0π2sinαθcosβθdθ+∫0π2sinα(ϕ+π2)cosβ(ϕ+π2)dϕ=∫0π2sinαθcosβdθ+(−1)β∫0π2cosαϕsinβϕdϕ=12(1+(−1)β)B(α+12,β+12)だからJ(α,β)=12(1+(−1)α)(1+(−1)β)B(α+12,β+12)
J(α,β)が求まったのでIa(xlymzn)を求めます。Ia(xlymzn)=∫0arl+m+n+2dr∫0πsinl+m+1θcosnθdθ∫02πcoslϕsinmϕdϕよりIa(xlymzn)=al+m+n+3l+m+n+3⋅12(1+(−1)n)B(l+m+22,n+12)×12(1+(−1)l)(1+(−1)m)B(l+12,m+12)=al+m+n+34(l+m+n+3)(1+(−1)l)(1+(−1)m)(1+(−1)n)×Γ(l+12)Γ(m+12)Γ(n+12)Γ(l+m+n+32)を得ます。複雑に見えますが、l,m,nのうちどれか一つでも奇数になると0になってしまうので実際にはガンマ関数を計算しておまけの係数をかければ出せます。良心的設計ですね。
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