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大学数学基礎解説
文献あり

特異点解消の演習

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ネットで適当に拾ってきた演習問題を解きます.

$K$を代数閉体,$X = \mathrm{Spec}K[x,y,z,w]/(xy - zw)$とする.

  1. $X$ の特異点を全て求めよ.

  2. ブローアップで$X$の特異点を解消せよ.

  3. $X$がトーリック多様体と同型であることを示せ.

では早速.

1.1

$f = xy - zw$とする.$X$は4次元空間の中の超曲面であるので,特異点は偏微分が全て0になる点である.それぞれ偏微分を求めると,

\begin{align} f_x &= y \\ f_y &= x \\ f_z &= -w \\ f_w &= -z \end{align}

であるので,

$$ y = x = -w = -z = 0 $$

を解くと$(x,y,z,w) = (0,0,0,0)$となる.

$\therefore$ $\mathrm{Sing}\, X= \{(0,0,0,0)\}$

1.2

何を以てブローアップとするかは文脈による気がするので,なんとなくスケッチだけ書くことにします.

今,$\mathbb{A}^4$の中で原点が特異点となっている:

4次元空間 4次元空間

これを原点でブローアップしたものを$\mathbb{\tilde{A}}^4$と書くと,以下のようになる:

原点でブローアップ 原点でブローアップ

$x$が0でない$\mathbb{A}^4$(赤破線部)では軸のラベルが$x, x^{-1}y, x^{-1}z, x^{-1}w$となっているが,それぞれが一つの変数だと考える.

これは局所化したものを便宜的にこう書いているだけです.またこの書き方は流派によって異なり,新しく$y',z',w'$などと変数を置き直すこともあります.

$X$$\mathbb{\tilde{A}}^4$へ引き戻すと,赤破線部では

$$ xy - zw = x^2(x^{-1}y - (x^{-1}z)(x^{-1}w))) $$

と表せられる.ここで,狭義変換$x^{-1}y - (x^{-1}z)(x^{-1}w) = 0$の多項式を$f^{(x)}$と書くと,
\begin{align} f^{(x)}_x &= 0 \\ f^{(x)}_{x^{-1}y} &= 1 \\ f^{(x)}_{x^{-1}z} &= - x^{-1}w \\ f^{(x)}_{x^{-1}w} &= - x^{-1}z \end{align}

となるので,これらを全て0にする点$(x, x^{-1}y, x^{-1}z, x^{-1}w)$は存在しない,よって非特異である.

同様に他の変数でも狭義変換は全て非特異となる.このブローアップの例外集合は$\mathbb{P}^3$に等しい:

例外集合 例外集合

また,狭義変換は以下のような$\mathbb{P}^3$における射影曲面となる:

狭義変換 狭義変換

全変換をそれぞれ$V_1, V_2, V_3, V_4$とすると,ブローアップは

$$\tilde{X} = V_1 \cup V_2 \cup V_3 \cup V_4 \subset \mathbb{\tilde{A}}^4$$

となる.

1.3

$\phi: K[x,y,z,w] \to K[su,t,u, st] \subset K[s,t,u]$を考える.ここで以下を示す.

$\mathrm{Ker}\, \phi = (xy - zw)$

($\supseteq$) $\phi(xy - zw) = sut - ust = 0$ より成り立つ.

($\subseteq$) $g \in \mathrm{Ker}\, \phi$に対して,
\begin{align} g &= g(x,y,z,w)\\ &= g_1(y,z, w) + g_2(x, z, w) + g_3(z,w) + (xy - zw) \end{align}
と剰余しておく.それぞれ$\deg_y g_1 > 0, \deg_x g_2 > 0$であることに注意せよ.

この時,
\begin{align} \phi(g) &= g_1(t, u, st) + g_2(su, u, st) + g_3(u,st) = 0 \end{align}

となるが,それぞれ$g_1, g_2, g_3$部分に同じ単項式は現れない.実際に,$g_1$$g_2$で同じ単項式が現れるとすると,それぞれ$t^{a_1}u^{b_1}(st)^{c_1}$および$(su)^{a_2} u^{b_2} (st)^{c_2}$とすると指数部分を比較して

\begin{align} c_1 &= a_2 + c_2\\ a_1 + c_1 &= c_2\\ b_1 &= a_2 + b_2 \end{align}

となるが,これを解くと$a_1 + a_2 = 0$となり,$a_1 > 0, a_2 > 0$に矛盾する.

$g_1$$g_3$でも同様に比較すると
\begin{align} c_1 &= b_3\\ a_1 + c_1 &= b_3\\ b_1 &= a_3\\ \end{align}
となるが,これを解くと$a_1 = 0$となり,$a_1 > 0$に矛盾.

$g_2$$g_3$においても
\begin{align} a_2 + c_2 &= b_3\\ c_2 &= b_3\\ a_2 + b_2 &= a_3\\ \end{align}
となるが,これを解くと$a_2 = 0$となり,$a_2 > 0$に矛盾.

以上より$K$が無限体であることから$g_1 = g_2 = g_3 = 0$となる.よって$g \in (xy - zw)$となる.$\square$

以上より
$$ K[x,y,z,w]/(xy - zw) \simeq K[su, t, u, st] $$
が示される.右辺は$s,t,u$の単項式で生成されているので$Y = \mathrm{Spec}\, K[su, t, u, st]$ はトーリック多様体である.

$\therefore$ $X\simeq Y$.

まとめ

ざっとさらったので間違ってるところがあるかもしれません,ご指摘よろしくお願い致します.

参考文献

[1]
Atiyah, M.F. and Macdonald, I.G., Introdiction to Commutative Algebra, Addison-Wesley Publishing Company, Inc., 1969
[2]
Hartshorne, Robin, Algebraic Geometry, Springer-Verlag New York Inc., 1977
投稿日:2021929

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投稿者

有限体上の代数曲線の特異点解消について研究していました

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