この記事では, ランダウの漸近記法についてまとめる.
まず, 次の極限について考えてみよう.
これは非常に簡単である. 実際
と計算できる. ここで重要なことは,
多項式関数が出てくる式の,
高い次数の項はあまり重要ではないということである.
上で見たような計算は, 多項式関数の商の極限を考えるときはいつでも使える.
そうなると, 次のようなことを考えたくなるかもしれない.
一般の関数
についても,
この疑問に答えるのがランダウの漸近記法である.
まずは定義を述べよう.
このとき,
であることをさす.
これは関数
を満たすような関数
したがって, 異なる関数
例えば,
である.
ここで, ランダウの漸近記法についていくつかの性質をまとめておこう.
関数
とする. このとき以下が成り立つ.
まず一つ目を示す. そのためには
しかし
であり, この二つが
次に二つ目を示す. そのためには
しかし
となり, やはり
漸近展開が有益なのは, 多項式関数以外にも使えるからである. しかし, 実際に使うためには考えたい関数に対する漸近展開を予め知っておかなければならない. そこで使えるのがテイラーの定理である.
テイラーの定理について述べよう.
任意の
ただし
証明は省略する. (いずれ書くかもしれないが. )
ここから, 次がしたがう.
しかも,
つまり, 微分に関して良い振る舞いをする関数, 例えば
これを用いると, 次の問題が簡単に示せる.
を求めよ.
であるが,
であることがわかる.